第36章 奇行種と新兵たちの初陣
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巨人を討伐しながら進んでだいぶたった。
やはり今回は巨人の出現が多いような気がする。
まだまだ身体は動くため、自身の事に関しては問題ないが、奇行種クレアは新兵たちの事が気がかりだった。
みな無事だろうか……
そんな事を考えてた時だった。
「ハ…ハンジさーーん!!…はぁ…はぁ…合流できてよかった……」
全速力でこちらに向かってくる1人の兵士が息を上げながらハンジの名を呼んだ。
「あれ?どうしたの?伝令?」
声をかけたのは、ナナバ班の兵士だった。
「はい、巨人の出現が多く、陣形のあちこちに穴があいてると思われます。間もなく団長の信煙弾が上がりますが、この先にある森でいったん負傷者の確認と作戦の練り直しを行うそうです。」
やっぱり……
クレアの胸はザワザワと騒ぎ出した。
リヴァイはもちろんだが、フレイアにリリアン……自分を慕って頼ってくれた新兵達の安否が心配で、クレアは指先とつま先の体温がサーッと引いていくのをはっきりと感じた。
──パァーーーーーン──
そうしてる間にも黄色い信煙弾が空高く飛び上がり、作戦遂行不可能の合図を高々と全兵士に示した。
「!!」
クレアは黄色の信煙弾を見るのは初めてだった。
作戦遂行不可能になる程の犠牲がでている……
そんな現実受け止めたくなかったが、負傷兵が出ているなら治療をしなければ。
「分隊長!信煙弾上がりました!急ぎましょう!」
「よし!みんな行くよ!」
ハンジの掛け声に今一度強く手綱を握り直すと、バクバクと煩く拍動する心臓に少しだけ息を上げながらクレアは走り出した。
──どうかみんな……無事でいて……──
今はもう、それしか頭になかった。