第36章 奇行種と新兵たちの初陣
「う、うあああああああ!!!」
アンドレは目をあけると今自分の置かれた状況を瞬時に理解できたのかそれ相応の反応をする。
そしてアンドレに迫る巨人の動きを止めるためにペトラがブレードを思いきり振り上げたのを確認すると、リヴァイは全体重をかけて体当たりをした。
──ドンッ!!──
──ザザザザザザッ──
ダスゲニーから飛び込むようにアンドレと巨人を引き剥がすリヴァイを、他の4人が確認すると、3体の巨人は見事にうなじを削がれ、水蒸気を噴き出しながら倒れていった。
「……あ……あ……リヴァイ兵長?それに……」
地面に自分を押し倒した人物がユラリと起き上がると、それはよく知る黒髪三白眼のリヴァイで、目の前には瞬く間に討伐を終えたリヴァイ班のメンバー達が立っていた。
「おい、これはいったいどういう状況だ。」
いつものドスのきいた声が降ってくるが、アンドレはヒヤリと違和感を覚える。
──ボタッ、ポタッ、ポタッ──
「リ、リヴァイ兵長?!血、血が!!!」
「……チッ」
リヴァイはアンドレを巨人から引き離す際に、地面から隆起していた大きな石に、右のこめかみをぶつけて切ってしまった様だ。
大粒の血の雫がアンドレの兵服に滴り濡らしていく。
ズボンのポケットからハンカチを出して拭うが、強い衝撃で深く切ったのか、そのハンカチはみるみる赤く染まっていくだけでなかなか血は止まらない。
「兵長!!大丈夫ですか?」
リヴァイ班のメンバーもその様子を心配して駆け寄ってくるが今はそれどころではない。
「お前ら騒ぐな、大丈夫だ……それよりアンドレ、状況を説明しろ。手短に分かりやすくだ。いいな。」
「は、はい!」
やっと正気を取り戻したアンドレは巨人が現れてからのこと、班員は自分以外死んだ事、メグの片脚は遺品として持ち帰りたい旨をできるだけ正確に話した。