第36章 奇行種と新兵たちの初陣
「あっ!ハンジさん、巨人です!3体はいます!信煙弾打ちますか?」
何度も進む方角が変わりながらなんとか前進するが、とうとうハンジ達の前にも出現してしまった。
「今反対側でも赤の信煙弾が上がっていたな…ん〜、仕方ない!ここで叩こう!!」
「「はい!!」」
3人はブレードを抜くと、向かってくる3体の巨人目掛けてアンカーを射出した。
──ザシュッ──
──バシュッ──
クレアは小さな身体を活かして飛び上がり、勢いよくうなじを削ぐが、着地しようと体勢を整えた所で、もう2体こっちに向かってくるのを確認した。
「ハンジさん!モブリットさん!!あと2体です!私、先にむかって時間稼ぎます!!」
「「クレア!!」」
ハンジとモブリットはまだ討伐途中だったため、クレアは待ち構えていたデイジーに飛び乗り駈歩(かけあし)発進をすると、最高速度で駈けていった。
クレアが2体の巨人の膝裏をブレードで削いで足を止めると、討伐を終えた2人が順番にやってきてなんとかとどめを刺す事ができた。
「今回は本当に巨人の出現が多いですね……他の皆さんは大丈夫でしょうか…」
クレアは返り血を浴びた顔をマントで拭うと思わず顔をしかめてしまう。
「どうだろうな…もしかしたら陣形に穴が空いてる可能性もある。この先は索敵の取りこぼしだけではなく、陣形に入り込んでるかもしれない巨人にも注意して進もう。」
「「はい!!」」
5体の巨人の身体から勢いよく噴き出す水蒸気で少し視界が悪くなっていたが、ハンジ達は前方の緑の信煙弾を目印に再び前進を始めた。
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アンドレは愛馬スコールの腹を蹴り、最高速度で班長と先輩兵士の後ろを走っていた。
アンドレの班は、班長のアリダーと先輩兵士のレン、エミリー、そしてアンドレと同じ新兵メグ・ジェイカーの5人編成だった。