第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
自らの巨人に対する情熱だけではなく、武器の改良、兵団の資金調達にいたるまで多岐にわたり調査兵団に貢献しているハンジに、クレアは改めて尊敬をした。
自分も、早く副官であるモブリットのような存在になりたい。
クレアはメラメラとやる気に満ちていた。
そして、さっそく3人は作業にとりかかる。
クレアの仕事は、記録と使用済み器具の洗浄消毒だ。
今後製造も手伝えるよう、手順などしっかり見て頭に入れておく。
数種類の材料の下準備がそれぞれ異なり、精製にいきつくまでの行程が山のようにある。
あらかじめ発酵が必要なもの。
あらかじめ乾燥が必要なもの。
精製直前に煎じなくてはならないもの。
発酵や乾燥が必要な物は、ストックがなくなってしまえば、また作らなくてはならない。
抽出にも温度管理が必要なため、火加減など、気を許すことができない。
1クールの作業が3時間弱。
それで作れるのは小瓶で3本程だ。
これらの作業を何クールするかは、材料の残量次第だ。しかし、ハンジの気分とテンション具合では、材料が底をついても、また別の実験や研究が始まるため、毎夜ほぼ午前様だ。
無事に抽出が終わり、時刻は10時前。
あと1クールはするだろう。
すぐに作業にとりかかれるよう、消毒の済んだ器具を並べ始めた。すると……
「クレア、今日はここまででいいから、上がって休んでね。」
「え?まだ精製作業続けますよね?お手伝いします!」
「そうしてもらいたいけど、クレアはまだ調査兵団に入ったばかりだ。無理をして、倒れてしまったら大変だし、日中の訓練で怪我をしても困る。ここでの生活に慣れるまで、クレアは10時頃には上がるようにして欲しい。」
モブリットもハンジの話に深く頷いている。
クレアはつい先程まで何時まででもハンジに付き合うつもりで、やる気を漲らせていたのだ。
側にいて手伝いたい。
「決してご迷惑はかけません!ですから………」
「…クレア、これは命令だよ。」
命令…そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまい、その場で俯いてしまう。
泣くつもりなんかないのに、目にはたくさんの涙が溢れていて、一度でも瞬きをしたら、こぼれ落ちてしまいそうだ。