第35章 そしてリヴァイは考えた
いったい自分はどうしてしまったのか。
ブルブルと震えながらリヴァイを見つめるが、当のリヴァイは至って涼し気な顔だ。
心なしか口元に少し笑みを浮かべているようにも見える。
そういえば紅茶を飲んだ瞬間からおかしくなった。
リヴァイは自分の紅茶に何か入れたのだろうか。
「へ…いちょう?私の紅茶に…何か入れましたか…?」
「さぁ、どうだかな。」
しかし、リヴァイはいたってポーカーフェイスのままだ。
きっと何か一服盛られたに違いない。
しかしそれはもう時既に遅しである。
何を盛られたのかは分からぬが、今はとにかくリヴァイが欲しくて欲しくてたまらない。
忙しくて今まで我慢していた分、それが余計にこの熱に拍車をかけていた。
もうこの疼きを抑えようとしていた理性という最後の砦も崩壊寸前だ。
必死にかぶりを振りながら耐えていたが、ハンジ特製激アツ媚薬MAXがクレアの身体に入り最高血中濃度に達すると、プツリと静かな音を立ててクレアの理性はとうとう崩壊してしまった。
「へ、兵長!!」
赤い顔で目を潤ませ、息を上げながらイスから立ち上がったクレアは、リヴァイの腕を掴むと思い切り引っ張りベッドに押し倒した。
「…クレア?!」
リヴァイはハンジの媚薬の効き目がどんな風に現れるのかじっくり観察するつもりだったのだが、その即効性に驚きを隠せなかった。
直ぐに効果が出ると聞いていたが、それは予想をはるかに越えていた。
媚薬の効果で熱を上げ始めたかと思ったら、力一杯にベッドに倒されたのだ。
いくら不意をつかれたとはいえ、自分が押し倒されるなど思ってもみなかった。
その身のこなしは訓練兵時代に視察に行った時の対人格闘を思い出させる程にだった。
このままどんな乱れ方を見せてくれるのか眺めるのも一興だろうか。
リヴァイはブーツを脱いで放り投げると両腕を広げ、その身体を差し出した。