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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第35章 そしてリヴァイは考えた




「え?いきなり前日の夜にですか?」



「そう、今思えば笑っちゃうわよね。でも、よく澄んだキレイな星空を見ていたら、自分がちっぽけな存在に思えてしまって…途端に怖くなっちゃったの。」



「そ、その時は立ち直れたんですか?翌日の壁外調査に支障は出なかったんですか?」



「アンドレも、やっぱり不安?」



「……俺、ローゼ出身なので、本物の巨人は見たことがありません。ですが、ウォールマリアが巨人によって突破されてしまった今、この壁内も安全とは言い切れなくなりました。自分には実家があり親や兄弟がいます。始めは家族を守りたいと思い調査兵団に入団したのですが…実際に壁外調査の日程が決まってしまうと、自分の命のカウントダウンのように感じてしまって……」


アンドレは悔しそうに頭を掻きむしりながら俯いてしまった。



「アンドレ……」



「すみません…こんな情けない話…」



誰だって死ぬのは怖い。

誰だって好き好んで巨人と戦っている訳ではない。

どんなに志高く入団した兵士でも必ずある感情。



アンドレの思いは至極当然だ。



クレアはあの時、リヴァイの言葉によって救われたのを思い出す。

どうかアンドレにも不安なんか蹴散らして、また迷いの無い訓練に戻って欲しいと強く願ってしまう。




「アンドレ、どうか自分を信じてあげて。不安や恐怖は誰にでもあるから情けないなんて思わないで。貴方が志高く訓練をしているのは誰もが知ってるわ。もちろん私もね。」



「クレアさん…」



「それにもし壁外で怪我をしたら私が全力で治療をするわ。」


「……本当ですか?どんな大怪我をしてもですか?」


「フフ、私1人でできる事には限界があるからなんでも治せる訳ではないけど……」


「ハハ…そうですよね……」


「でも、どうしても治せないと判断した時には…」


「……!?」


「私が責任を持って、安らかに逝かせてあげる。その判断を下せる権利を私は団長から頂いてるから。」


クレアは迷いなく真っ直ぐにアンドレを見つめてそう言い切った。



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