第35章 そしてリヴァイは考えた
「ハッ、そうかよ。」
クレアの言葉に少し機嫌が戻ったのか、少し口角を上げると両腕を引いてそっと唇を重ねた。
「………ん…」
先程リヴァイが味見をしたジャムの香りが口内に入ってくる。昨日自分が味見するのをすっかり忘れてしまっていたが、リヴァイから伝わってくるこの感じだと、きっとリリアンも喜んでくれるだろう。
「クレア、今日はもういい。リリアン達と朝飯に行ってこい。」
そっと唇が離れると、リヴァイは優しくクレアを見つめている。
「え…?」
「お前がせっかく作ったジャムでリリアンを元気付けてやるんだろ?仕事はもういいから行ってこい。」
「す、すみません…ありがとうございます!」
「だが、あんまり新兵構いすぎるなよ。そんな時間あるなら俺の所に来い。いいな?」
「わ、わかりました…では兵長、失礼致します。」
クレアは敬礼をすると、リヴァイの執務室を後にした。
食堂に着くとちょうど賑わい出す時間で、タイミングよくフレイアとリリアンにも会え、3人で朝食を食べることができた。
「すごい!!コレクレアさんの手作りですか?」
「クレア!めっちゃおいしい!!」
「ありがとう。喜んでもらえて嬉しいよ。」
リリアンはできたての甘いジャムをパンにぬり思いっきり頬張ると、ため息をつきながら表情が緩んでいった。
「壁外調査前で気が張り詰めたり不安になったりすると思うけど、私達でよければできる限りサポートするから……」
「そうそう、私達も昨年まではリリアンと同じだった訳だし、気持ちはよく分かるから!」
「クレアさん…フレイアさん…ありがとうございます!」
リリアンはゴクンとパンを飲み込むと、それと同時にポロリと涙をこぼした。
「フフ、泣かないでリリアン。こんなのでよければまた作るから。3人で食べちゃお!」