第35章 そしてリヴァイは考えた
「大丈夫だよ。クレアが作ったものだったら例え生クリームたっぷりのケーキだって、チョコレートだって食べるさ。」
「だといいのですが……」
「大丈夫だって!リヴァイにだけない方がかえって拗ねるかもよ?」
「で、ですよね……」
やはりリヴァイと付き合いの長いハンジだ。
例え口に合わなくても持っていくほうがいいだろう。
そんな事を考えながらクレアは使った調理器具を洗い終えると精製作業に戻った。
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翌朝
リヴァイとクレアはいつもと変わらない早朝の書類仕事を、静かな執務室で過ごしていた。
しかし、今朝は少しだけクレアの心臓が煩く鳴り響いている。ポケットに入っている小さな小瓶を、どのタイミングでなんと言って渡せばいいのか悩んでいたのだ。
「おい、何か言いたい事があるなら言えよ。」
しかし、いつもと違う雰囲気にとっくに気付いていたリヴァイは、さっさと話せとばかりにいきなり声をかけてきた。
「え?!あ、あの…その…」
いきなりの事につい口籠ってしまった。
「なんだよ。クソメガネには言えて俺には言えねぇ事なのか??」
持っていた書類を置き、クレアの顎を掴むとこれでもかという程にその距離を縮めてきた。
もう鼻と鼻がぶつかりそうだ。
「ち、達います…」
観念したクレアはポケットから小瓶を出すと、リヴァイの目の前に両手でサッと差し出した。
「……?なんだこれは…?」
クレアの小さな手の中にちょこんと乗っている小さな小瓶。中身は透き通る様な鮮やかな赤色で、窓から入る日光に照らされ光輝いて見えた。
「こ、これは……」
クレアはゆっくりと、少し恥ずかしそうに昨日の事をリヴァイに話し始めた。