第35章 そしてリヴァイは考えた
砂糖を入れて弱火でしばらく煮込めば、赤色を取り戻した苺にとろみがつき、段々と甘酸っぱい香りが執務室にたちこめてくる。
「こんな感じでいいのかな?」
火を止めると小さいスプーンに少し取りハンジに差し出した。
「ハンジさん、どうでしょう?」
「え?私が味見するの?」
「是非!お願いします!」
少し遠慮がちにクレアからスプーンを受け取り口に入れると、その味はとても酒に漬けた後の苺で作ったとは思えない程の美味しさだった。
「クレアすごい!!美味しいよコレ!甘味も酸味もちょうどいいし、それに苺の味もしっかり残ってる!」
「本当ですか?良かったです。これならリリアンにも喜んで貰えそうですね。」
しかし、なかなかクレアの望むような返事が返ってこない。どうしたのだろうとハンジの方に目をやると、ブツブツと何か呟いている。
「あぁ…欲しい!!欲しいよ〜!!」
「え?」
何故だかハンジは拳を握りながらワナワナと鼻息荒く震えだした。いったいどうしたというのだ。
「あーーー!!クレアみたいな嫁さんが欲しいよ〜!!」
すると突然ハンジは意味不明な事を叫びながらクレアに抱きついた。
「キャッ!キャア!ハンジさん!?」
「こんなにちっちゃくて、可愛くて、掃除も片付けも上手でその上料理もうまい!!クレアは最っ高のお嫁さんだ。」
「いったいどうしちゃったんですか?」
抱きつかれた勢いで思わずフラついてしまう。
「捨てれる!!私はクレアと結婚できるなら生物学的上女であることなんて簡単に捨てられるぞ!!」
「えー?!」
まったく訳が分からなくなってしまったが、絶妙なタイミングでモブリットが助け船をだした。
「分隊長……何言ってるんですか…あなたが男であろうと女であろうと不可能ですよ。リヴァイ兵長が許してくれません。」
「クソー!!そうだったー!!」