第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
ハンジは鼻息を荒くしながら、テンション上がりまくりだ。
午前の訓練が終わると、皆肩で息をし、ぐったりとしている。
昼休みの食堂では、クレアの噂はすぐに広まり、まさかの注目を浴びる立場になってしまった。
初めての事で、肩身狭く昼食をとっていると、ハンジがひょっこりと現れ、声をかけた。
「どうしたの?!浮かない顔して。もう疲れちゃった?」
「い、いえ…なんか皆さんの視線が痛くて……私、立体機動の訓練になると、妙にテンション上がってしまって………溢れる力を抑えられないと言うか…なんか自分でもよく分かんないんですけど、とにかく止まらないんです……おかしいですよね…?」
「おかしくなんかないよ!クレアの立体機動装置の腕前はまさに天才的だね!みんな驚いてるんだよ。視線が痛いのも今だけだから大丈夫、気にしない気にしない!」
ハンジはクレアの肩をバンバン叩いた。
なんとなく、他の調査兵と顔が合わせづらかったが、少し早めに午後の訓練場に向かった。
すると先程クレアに負かされた兵士達が次々と話しかけてくる。
「お前すげーなー。どんな訓練積んだらあんなにスピードだせるんだよ!」
「午後は負けねーから覚悟しとけよ!」
みなクレアと距離を取ろうとはせず、むしろ一歩踏み込んできてくれた。
クレアが知らず知らずに作っていた壁のような雰囲気にもおかまいなしにだ。
クレアは少し反省した。
ここは命をかけあう調査兵団だ。
人付き合いが苦手だからといって、いつまでも人を寄せ付けないような雰囲気をだしていてはいけない。
「ほーらねっ!言ったでしょ!」
ハンジがニカッと笑いながらバンッ!と背中を叩いた。
クレアは照れくさそうに改めて皆に挨拶をする。
「午後の訓練も宜しくお願いします……」
午後の訓練では皆真剣さに磨きがかかり、切磋琢磨するような充実した訓練になった。
クレアの存在は確実に良い影響をあたえていた。
夕刻5時には訓練終了。
だが、ハンジ班はここからが本番。
夕食を終えると夜中日付がかわるあたりまで、ハンジの実験や研究の補助やら記録等の手伝い全般が待っている。