第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
調査兵団での訓練は班ごとで行われるのが基本だが、2・3組の班員での合同訓練や全体訓練も行われる。
ほとんどが、立体機動装置を使っての実戦向け訓練だ。
だが、訓練兵団と大きく違う点が1つある。
馬の多さだ。
壁外調査では予備の馬も並走させるため、常に多くの馬が管理されている。
予備馬の管理や調教などは何組かの班が合同で行い、当番制になっていた。
予備馬当番の日は午前中、馬の調教で時間を使ってしまうほど重労働である。
この日のハンジ班は、馬の当番ではなかったため、クレアは訓練前に愛馬の馬房を掃除し、健康チェックを済ませた。
調査兵団でも、訓練前に各自で愛馬の世話を済ませるのが決まりだ。
訓練開始時刻になり、ハンジ達と合流すると今日のメニューはミケ班、ナナバ班との合同訓練だった。
ミケ班にはフレイアがいた。
「クレア!ハンジさんの班だったのね!私はミケさんの班に配属になったの。今日は宜しく!」
「フレイア!さっそく一緒に訓練できて嬉しいわ。」
間もなく訓練開始時刻だ。
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森の中での討伐訓練では、クレアは注目の的だった。
「分隊長!クレアは本当に新兵ですか?ついてくのがやっとです…」
モブリットはクレアの討伐ペースに合わせるのがやっとのようだ。
「うっひょー、視察に行った時より更に磨きがかかってるねぇ!」
ハンジは飛びながら、興奮が抑えられない。
クレアは小柄な身体を生かして飛び上がり、木を蹴り飛ばし、回転しながら次々と討伐していく。
クレアには、上も下も右も左もまるで関係ない。
そして立体機動装置で飛び上がると、クレアは一気に人格が変わったような表情をする。
普段は無表情で、つまらなそうな雰囲気を漂わせているのに、立体機動の訓練では不敵で好戦的な笑みで飛び回り、巨人の討伐が楽しくて楽しくてしょうがないというオーラを出していた。
もちろん他の班員も、負けじと奮闘する。
ベテランの調査兵として恥をかきたくはない。
必死に食らいつくもギリギリのところで追いつかなかった。
「おいっ?!あいつ本当に新兵か?」
「クソっ!なんてやつだ!」
みな口々に悔しさをこぼす。
「ひゃっほー!クレア、思ったとおりの逸材だ!」