第34章 その数、無制限
「また試作品できたら渡すから感想聞かせてねー!」
ハンジは出ていく2人を笑顔で見送ったが、最後の言葉まで届いていたかは不明だった。
──バタン──
「兵長!!ハンジさんには言わないで下さいって言ったじゃないですか!!」
リヴァイの自室につくやいなやクレアは顔を真っ赤にしながら怒り出した。
「俺は言わないとは言ってないぞ。」
「………うぅ。」
確かにリヴァイの言うとおりだったため、もうクレアは何も反論する事が出来なかった。
明日の夜はおそらく一晩中質問攻めコースになるだろうと思うと、クレアは全身の毛穴からヒヤリと嫌な汗が出るような感覚に陥った。
考えただけでドッと疲れが出てしまい、フラフラとベッドに顔から倒れ込んでしまう。
「あの様子じゃ明日にでも新しい試作品を作ってきそうだな。」
リヴァイはブーツを履いたままベッドに倒れ込んでるクレアの隣に腰掛けると、追い打ちをかけるように言い放った。
「他人事の様に言わないで下さい……」
「それは心外だな。俺は他人事を言ったつもりは無い。あのクソメガネがまた怪しいモノを作ったら俺の所に持ってこい。」
「!?」
その言葉を聞いてクレアはガバッと上半身を上げて引きつるような顔でリヴァイを見た。
「そ、それってつまり…」
「あぁ、俺がじっくり試してやる。お前の身体を使ってな。」
いつもはクソメガネだの不衛生だのと言っているクセにどうしてこんな時だけ意気投合なのだ。
クレアは大きなため息をつくと再び顔をベッドに埋めてしまった。
「ほら、明日からまた訓練だ。とにかく早く風呂に入っちまえ。」
リヴァイはうなだれているクレアの尻を軽く叩くと、シャワーを浴びてくるように促す。
「わ、分かりました……」
クレアはおずおずと手を伸ばし渡されたバスタオルを手に取ると、素直にシャワー室まで向かっていった。