第34章 その数、無制限
兵門から入り、厩舎まで行くと、すでに夕方の飼い葉を食べおえた馬たちが静かに過ごしていた。
クレアとリヴァイは手早くダスゲニーの手入れをすると、いつもより多めの飼い葉を馬房に入れてやり、厩舎を後にした。
「兵長、今日は休日ですが、ハンジさん達は執務室にいるはずです。早速お土産を届けに行きましょう!」
「あ?俺も行くのか?」
土産の苺は生物なため、早めに持っていくのは分かるが、わざわざ休日まであの散らかった執務室に行かなくてはならないのかと、リヴァイは少し返事に渋ってしまった。
「そうですよ?ハンジさんからお休みを貰ったのですから兵長も行かないと…」
「俺は正当な勝負でお前の休日を勝ち取ったんだが…まぁいい。一緒に行ってやる。」
ハンジはこんな時間にこんなに美味しそうな苺を持ってきたらどんな顔をするだろうか?
ワクワクと胸を高鳴らせて、クレアは執務室の扉をノックした。
──カチャ──
「ハンジさん!只今戻りました。」
「あー!おかえりー!クレア〜2日も会えなかったなんて、私、寂しくてどうにかなっちゃいそうだったよ〜。」
勢いよくクレアに抱きつくと、スリスリと頬ずりをするが、リヴァイによって止められてしまう。
「おい、クソメガネ。風呂に入ってない汚ぇ身体でコイツに触れるな。」
「へ、兵長!!それはあんまりです!」
「ハハッ!相変わらず厳しいなぁリヴァイは。クレアはこんなに潔癖症と一緒にいて息苦しくならないの?」
「えーと…それはですね…」
この2人は両極端すぎて解答に困ってしまう。しかたなくクレアは話題を変えようと、土産のカゴをハンジに手渡した。
「ハンジさんとモブリットさん。お休みを頂いたお礼と、デイジーのお世話をして頂いたお礼です!」
「え?俺にもかい?」
「え?えー!?何これ!すっごい美味そう!!食べてもいいの?」
「もちろんです!」
ハンジとモブリットは1つづつ取り口に入れると、その高級感溢れる甘みに思わずため息をついてしまった。