第34章 その数、無制限
「や…へい…ちょ…んん……」
リヴァイはいかにも糖度の高そうな大粒の苺を口に放り込むと、クレアの後頭部に手を回して思い切り深い口付けをした。
クレアの口の中に、苺を押し込みたくても大きくてそのまんまでは無理だ。
リヴァイは一度口の中で噛んで半分にすると、舌で押し込みクレアの口に入れてやった。
「んん……ん…」
クレアがキスをしながらも懸命に咀嚼して飲み込むのを確認すると、もう片方も同様に押し込んでやった。
「…はぁ……ぅん………」
クレアの口には昨日食べた苺よりも断然甘い味がしたのだが、それは品質の高い苺だからなのか、はたまたリヴァイの唇から流れ込んできたものだからなのかはもう判断できなかった。
すべて飲み込むと、したり顔をしているリヴァイに口の端から漏れた苺の汁をぺろりと舐められた。
「子供扱いはしなかったから文句はないだろ?」
相変わらずリヴァイのペースで何か言い返したかったが、苺はとても甘くてクレアを幸せな気持ちにさせてくれたのはまぎれもない事実だ。
クレアは文句を言うのはやめて、ただ気恥ずかしそうな顔をすることしかできなかった。
「それじゃあ帰るぞ。忘れ物するなよ。」
「は、はい!!」
リヴァイとクレアは、オーナー夫妻と村長に挨拶をすると、ダスゲニーに乗り、調査兵団の兵舎に向かって走り出した。
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夕方になる前に出発をしたが、兵舎につく頃にはすっかり夜だった。
クレアは苺の入ったカゴを大事に抱えてリヴァイに背中を預けている。
「………………」
あえてリヴァイに言うつもりはなかったが、クレアはダスゲニー1頭で来て本当に良かったと思っていた。
一晩中激しく愛されて腰砕けになった身体では、1人で長時間の騎乗で兵舎に戻るのはとても無理だっただろう。