第7章 調査兵団とハンジ班と時々リヴァイ
「い、いえ…特にダメ出しはありませんでした。ただ、ぶっきらぼうに、悪くない…と言われたのですが、それがダメ出しだったのでしょうか?」
口の悪いリヴァイはあまり褒めるような言葉を言わない。その分、リヴァイの「悪くない」は結構な確率で褒め言葉だということを、ハンジは熟知していた。
「リヴァイの悪くないは、褒め言葉だから大丈夫だよ!てか、掃除でダメ出しされないなんて、クレアすごすぎ!リヴァイは神経質なきれい好きで有名人だからね!なんだか気に入られちゃったみたいだね。」
「そうなんですか…まぁ掃除は苦手ではないので、大変ではなかったです。でも気に入られたとかは絶対にありませんから!」
変な呼び名をつけられ、意地悪な言い回しをされるのだ。万が一にも気に入られてる気はしない。
「私、先に行って、準備してきます!」
先に食べ終わったクレアは席を立ち、朝食のトレーを持つと片付けをし、食堂を出ていってしまった。
「ねぇ、モブリット、どう予想する?」
「ど、どうって?」
「リヴァイだよ!リヴァイ!クレアに恋しちゃったりしてー!」
「そ、そんな事は断言できませんが、確かに今までの兵長らしくはないですね。スペアのカギまで渡すなんて…」
「だーよーねー!シシシ!なんか楽しみが増えた!」
ハンジは笑いを堪えきれなかった。
その時、ハンジの頭上から容赦ないゲンコツが振り落とされた。
ゴチン!
「い、いってぇぇぇぇぇ!」
「朝から気持ち悪い笑い方してんじゃねぇよ、クソメガネ。食ったならさっさと訓練場にむかえ。」
噂の御本人登場だ。幸い、話は聞かれていないようだ。
「いったいなー。それより、クレアのことだけど、あんまりこき使っていじめないでよ!私の大事な班員なんだからね!」
「うるせぇな、わかってる。お前こそ、モブリットをこき使いすぎだ。そろそろハゲるぞ。」
「ご忠告痛み入る、でもモブリットの髪の毛はまだ大丈夫だ。」
「……分隊長………」
漫才のようなやりとりが済むと、ハンジとモブリットも訓練場へむかった。