第34章 その数、無制限
「ち、ち、違いますよ!!私は今、それはハンジさんへのお土産にしようと思っていたんです。いま食べようとは断じて……」
そう言いかけた所で口の端からヨダレがこぼれてしまい、思わず袖で拭ってしまった。
「……この土産はお前の好きにしていいが、その提案は説得力に欠けるな。」
「そんな事…ありませんよ…」
実際クレアの中ではハンジへの土産にしたい気持ちはもちろんあったが、目の前には宝石の様に光り輝く摘みたての苺がカゴいっぱいに入っている。
正直のところ、一口つまみ食いしたい気持ちも存在していた。
「はぁ……」
そんな気持ちにリヴァイが気づかないわけがない。
ソファに腰掛けるとカゴをテーブルに置き手招きをした。
「兵長…?」
クレア促されるまま隣にちょこんと腰掛けリヴァイを見つめる。
すると、リヴァイは苺を1つ取ると、クレアの口元にぶっきらぼうに差し出した。
「??」
「1つくらい食っても問題ないだろ。ホラ、口開けろ。」
「え?!」
「食いたいんだろ?顔に書いてあるぞ。」
「……………」
見事に心を見透かされたのが少し悔しかったのかは不明だが、クレアはせっかくのリヴァイの提案に素直に応じようとはしなかった。
「た…確かに美味しそうだとは思いましたが…そんな事、顔に書いた覚えはありません…そんなに子供扱いしないで下さい…」
少し膨れてリヴァイを睨む。
その反応は十分に子供っぽいだろうと、思わず突っ込みたくなったが、それを言っても余計に意地を張るだけだろう。
「いちいち面倒くさいヤツだな…それじゃあ子供扱いしなければいいんだな??」
「え?それっていったいどういう……」
……どういう意味ですか?
と、聞きたかったクレアだが、リヴァイの手の動きのほうがわずかに速かった様だ。