第34章 その数、無制限
そんなクレアの言葉を聞いたリヴァイは少し驚いた。
「……ハンジに執心するだけではなく、そんな事も考えていたのか。」
「もちろん、ハンジさんに出会ってからは頭の中はハンジさんの事でいっぱいでしたが……調査兵団に入団して……壁外調査を重ね、ウォールマリアの奪還ルートが少しずつ伸びていくのを見ていたら、ふと…そう思ったんです。」
段々と瞬きで目を閉じている時間が長くなる…
「そうだったのか……それなら言えることは1つだけだ。」
「え?!」
「死なない事……だ。」
「……………」
「とにかく、死なない事だ。死んだら、何もできないからな……」
──死なない事──
言葉で言うのは実に簡単だ。
でも、調査兵団の兵士にとっては1番難しいことと言っても過言ではない。
「フフフ…それが1番難しいんですよ…」
クレアは柔らかく微笑む…
「でも、お前はそれができる力を持ってる。だから…ちゃんと自分を信じてやれ…それに、お前の命が危なくなった時には俺が助けにいってやる。」
そこまで言うと、クレアは完全に瞼を閉じ、深い寝息を立て始めた。
リヴァイの言葉を最後まで聞いていたのか、いなかったのかは不明だがその寝顔はとても穏やかで気持ち良さそうだった。
「なんだよ、寝ちまったのかよ。」
ウォールマリアまでの奪還ルート。
今まで多くの犠牲を払いながらも着々とその距離を伸ばしてはいるが、まだまだだ。
クレアの想いを知ったリヴァイは何としても叶えてやりたいと思うと、自然と抱きしめる力が強くなる。
「絶対に…死ぬんじゃねぇぞ……」
そう呟きキンモクセイの香りを胸いっぱいに吸い込むと、リヴァイも目を閉じ一緒に眠りについた。
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日の出と共に眠った2人が目を覚ましたのは、正午手前だ。
「!!!!!」
すっかり明るくなってしまった部屋で目を覚ましたクレアは、昨夜の激しい睦み合いの名残りがそこかしこに散らばっているのを目の当たりにして、再び昇天しそうになってしまった。