第34章 その数、無制限
「いったいなんだって言うんだ?」
いい雰囲気で始められると思ったら急に真面目な顔になり、止められてしまった。
リヴァイは思わず顔をしかめてしまう。
「えっと……あの…私、もう大丈夫です…なので…隠したりしないで下さい!」
「!?」
「兵長は私と初めてした時に、その……肝心な所で私が嫌な記憶をフラッシュバックさせたから、気を遣って下さってたんですよね?」
「それは…」
「あの時はごめんなさい……あの事件は…忘れることはできませんが、でも思い出して苦しむことはもうなくなりました。」
クレアは身体を起こすと、少し戸惑った表情をしているリヴァイにジリジリと詰め寄る。
「今まで本当にごめんなさい…私、兵長が気にかけてくれてた事、気付いてたのに何も言えなくて……」
…確かに、初めて抱いた時のあの怯えた様子を考えれば、男のモノなど目に入れない方がいいと思ったのは事実だ。
それにあんな襲われ方をしたんだ。目に触れさせなくていいならそれにこしたことはない。クレアの事を考えれば、ずっとこのままでいいと思っていたのだが…まさかこんな事を言われるとは思ってもみなかった。
「なんだよ…気付いてたのか……でもだからと言ってお前が謝ることはないだろう。」
謝らなくてもいいとリヴァイは言ったが、クレアは目を閉じ首を横に振った。
「兵長の優しさに気付いていながら…言えなかったんです。謝らせて下さい……」
「お前の気持ちは十分に分かった…」
そんな事をいちいち気にしていたのかと、リヴァイはため息をつきながらクレアの頭を優しく撫でるが、クレアの表情はまだ納得していない様子だ。
「もう私の過去のことで、兵長との間に壁を作ったままは嫌なんです……なので、その壁……私の手で壊したいんです!」
そこまで言い切ると、クレアはリヴァイのズボンのベルトに手をかけた。
「お、おい!待て、奇行種!」
奇行種クレアによるまさかの展開に、珍しくリヴァイが声をあげて驚いた。