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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第34章 その数、無制限



「あ、あの…まだ少し痛いですが、明日には問題なくブーツも履けると思います。」


「そうか、それなら良かった。」


しかし、クレアの表情はまだ暗い。


「……本当にすみませんでした。」


「何故謝る。」


「兵長と2人きりで旅行なんて初めてで…最初は緊張してたんですけど、私…段々楽しくなってきてしまって。浮かれてたんだと思います。そしたら怪我をして迷惑かけてしまいました。…完全に自己嫌悪です…」


そう言うとクレアは、曇らせたままの瞳で無理に笑ってみせた。



リヴァイはため息をつくと、クレアを抱き上げバルコニーのベンチまで連れていき、自身の膝に座らせながら腰掛ける。


「……兵長?」


「別に謝る必要などない。そもそもお前の為に連れてきたんだ。楽しんでくれていたなら…それでいい。」


夜の帳がおり始めた空には1つ、また1つと星が輝きを放ちだしている。
それはまるで、クレアに“泣かないで”と言っている様だ。


「それに、あんな風にはしゃぐお前も悪くなかった。何度も言うようだがあんな顔、他の男には絶対に見せるんじゃねぇぞ。」


リヴァイは今にも涙がこぼれそうなクレアの頬をひと撫ですると、優しく唇を重ねた。


その唇は甘酸っぱい苺の味。


「おい、まだ苺の味がしたぞ。いったいどんだけ食ったんだ。」


リヴァイが優しくほくそ笑むと、クレアも安心したのか、少し笑顔を取り戻しながら話しだす。


「まだ、苺の味がしましたか?いくつ食べたかはおぼえてませんが、動けなくなるまで食べてしまったのは確かです…」


「女将はそろそろ夕食と言っていたが、食えるのか?」


クレアは条件反射のように腹に手を当ててみる。
外を散策したせいか、それともリヴァイの言葉に安心したせいか、しっかりと空腹感を感じていた。


「は、はい…お腹、空いてます。」


「ハッ、たいした奇行種だな。そうと決まれば行くぞ。」


リヴァイはソファまで戻り、クレアにもスリッパを出してやると、ダイニングルームに向かうため部屋を後にした。




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