第34章 その数、無制限
宿屋は村から少し外れた所に位置していたため、2人はダスゲニーをつれて一旦荷物を置きに行くことにした。
時間はちょうど昼過ぎだったが、たらふく苺を食べたクレアに昼ご飯は必要ないだろう。
よっぽど美味しかったのか、時折「夢のようでした…」だの「ずっと口にいれておきたかったです」など、独り言なのかよく分からないことをブツブツと喋りながら歩いていた。
しかし、この様子から察するにまず1つ目のプレゼントは大成功だっただろう。
ひとまずクレアの反応に満足しながら歩いていると、本日泊まる宿に到着した。
「お待ちしておりました!リヴァイ様。お荷物と馬をお預かり致します。」
入り口で待っていた宿のオーナー夫妻と思われる2人がリヴァイにかけより頭を下げた。
「今日明日世話になるが宜しく頼む。」
するとリヴァイはダスゲニーから荷物を外すと、手綱を近くにいた従業員に預けた。
「ささ、こちらでございます。」
オーナーがリヴァイの持っていた荷物を預かると、建物の中に入り部屋まで案内をした。
古い建物だが、よく手入れをされていて、リヴァイが好みそうな清潔感あふれる宿だった。
「こちらのお部屋を用意させて頂きました。お気に召して頂けると嬉しいのですが……」
その部屋はおそらくこの宿で1番高い部屋なのがクレアでもすぐにわかった。
皮ばりの立派なソファセットに星空が楽しめるような大きな窓にバルコニー、部屋に風呂も付いていてオマケに天蓋付きの大きなベッドだ。
きっとダブルベッドよりも大きいだろう。
こんな立派な部屋にお気に召すも召さないもないだろう。1泊とはいえこんな贅沢な宿に泊まるのかと早くも心臓をバクバクさせた。
「あぁ、悪くないな。この部屋で構わない。」
その言葉に一安心したのか、オーナーは荷物を置くとホッと胸をなでおろしているように見えた。
人類最強と言われるリヴァイが泊まりにくると言うことは、喜ばしいのと同時にここまで気を遣わせてしまう事なのだとクレアは改めてリヴァイの地位の高さを思い知らされた。