第34章 その数、無制限
しばらく歩いた所で降ろされた。
目的地まで着いたのだろうか…
「着いたぞ。」
目隠しを外されてまず見えた物は湾曲したワイヤーのような物で骨組みされた上に半透明のカバーがかけられたトンネル状の建造物だった。
それは辺りにいくつもあった。
それに少し離れた場所には様々な野菜が栽培されている。おそらくここは野菜などの栽培で収益を上げている農村地帯のようだ。
「兵長…ここは……?」
クレアはドーム状の建造物を指差しリヴァイに質問をした。
「この中にある物がまず1つ目の誕生日プレゼントだ。あけてみろ。」
「え?この中に入るんですか?」
戸惑っていると、村長がニコニコとしながら入り口のジッパーを開けてくれた。
「どれも自慢の出来上がりでございます。お時間等はお気になさらず、どうか心ゆくまで楽しまれてください。」
村長は2人に一礼をすると、そこから去っていった。
「こ、これは………」
クレアはゴクリと唾を飲む。
そこから見えた景色…それはこのトンネル状の建造物いっぱいに広がる苺畑であった。
「兵長!これはいったい?」
「見てわからないのか?お前の好きな苺だ。ここはハウス栽培という方法で苺を作っていて味も見た目も菓子職人の間では人気だそうだ。それを今日1日食べ放題にできる権利を買った。だから好きなだけ食え。」
「えぇ?!そ、そ、そんな贅沢!宜しいのでしょうか?」
「宜しいも何も、もう手配して金も払ってある。心置きなく食えばいいだろう。」
あまりにも斬新なプレゼントにフラフラと目眩を起こしそうになったが、目の前に広がる苺達に目を向けると、形や色味、大きさなどが微妙に違っていた。
確か村長が“どれも自慢の出来上がり”と言っていたあたり、苺にはいくつか種類があるのだろう。
「本当ですか?で、では早速頂きたいと思います!」
クレアはしゃがみ込むと、まず小ぶりで色の濃い苺を1つもいで口に入れてみた。