第34章 その数、無制限
今着ている服だってだってそうだ。
地味な深緑だが、この明るい太陽の下ではその深緑がクレアの色白の肌をより一層際立たせてしまっている。
そして細い首に鎖骨の浮き出た華奢なデコルテライン。
あろうことかリヴァイは早くもそこに赤い所有印をつけたくてうずき出してしまっていた。
他の男どもも同じような事を考えるだろうと思うと、沸々と黒い感情がリヴァイを支配しだしてしまう。
「兵長??どうかされましたか?……あっ……もしかして…服…似合ってませんでしたか……」
そして極めつけはこのボンネット帽だ。
クレアの艶々の蜂蜜色の長い髪の毛によく似合っている。だが、頬から額を丸いレースのツバで覆われてしまうと、中々表情が読み取れず思わず強引に自身の方を向かせ唇を奪いたくなってしまった。
今日のクレアは完璧すぎるほどにリヴァイの情欲をそそる容姿に仕上がっていた。
「いや…そんことはない。予想以上に悪くない……ほらいくぞ。」
リヴァイの“悪くない”の言葉に一安心すると、クレアも急いでデイジーの馬装を始めようとしたのだが…
「クレア、デイジーは置いていく。」
「え?では私はどうすれば……」
「お前は俺の前に乗れ。ダスゲニーと2人乗りでいく。」
「そんな…それはいくらなんでもダスゲニーがかわいそうでは?」
リヴァイは遠出をすると言っていた。1泊といえど荷物もあるし、さすがにかわいそうなのではと思ってしまった様だ。
「ダスゲニーは馬体もでかいし体力もある。お前みたいなチビ1人乗せるくらい分けない。それにデイジーの世話はクソメガネに任せてあるからもう行くぞ。」
「あっ……は、はい!」
問答無用とばかりに抱えられるとクレアは先にダスゲニーに跨った。
「わっ…高い!!」
割と小柄な部類に入るデイジーに乗っているクレアにとって、ダスゲニーから見える景色はいつもより高く、心なしかフワリと身体が浮き上がっている様な感覚になってしまった。