第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
こんな状態でこんなコトを始めるなど、クレアにはまったくもって理解不能であったが、部屋着のボタンは全てリヴァイによってスルリと外されてしまった。
時計をチラリと見れば日付はとっくに変わっている。
本当にこんなコトをしていて大丈夫なのだろうか。
「……クレア、早く抱かせろ……」
そんな心配もよそにリヴァイは両手をクレアのはだけた襟元に手をかける。このまま両手を左右に開いて脱がせるつもりのようだ。
「兵長……本気ですか…?」
赤く染まった目元で懇願するように言われてしまえば心臓は跳ね上がり、抵抗もできなくなってしまう。
観念するしかなさそうだ。
しかし
リヴァイはクレアの部屋着を脱がせると、何故かつられるようにズルズルとクレアの膝元まで崩れ落ち、そのまま動かなくなってしまった。
「え??兵長?!」
声をかけるが反応が無い。
「まさかとは思いますが…寝ちゃいました??」
「…………………」
自分の腹部の方に顔を埋めてるリヴァイの髪の毛をサラリとよければ、目を瞑り深い寝息を立てていた。
「う、嘘……本当に眠ってる!」
思いもよらぬ展開に上半身下着姿のまま呆然としてしまったが、冷えてきた肩にハッと我に返ると、とりあえず脱がされてしまった部屋着を着直してボタンをとめた。
よく見れば、クレアの腰に両腕をわまして、抱きつくように眠っている。
「そういえば私、兵長が眠ってるところなんて初めて見たわ……」
今なら触っても分からないだろうか……
クレアはリヴァイの髪の毛を指に絡ませながらその気持ちよさそうに眠る人類最強の寝顔をしげしげと見つめてみた。
コシがあってツヤツヤの漆黒の髪の毛。
リヴァイの愛馬、ダスゲニーとおんなじだ。
以前整髪料の類は使ってないと言っていたが、洗髪の石鹸だけでなんでこんなにも艷やかでキレイなのだ。