第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
「はぁ…私が、送り狼か。ハハッ、ひどい言われようだ。」
エルヴィンは軽く両手を上げるとヤレヤレといった風に呆れてみせた。
「とにかくお前の送りは必要ない。クレアは俺の自室まで連れて行くからな……ほら、行くぞ!」
「兵長?!ちょっ、待って下さい。」
リヴァイはその場にエルヴィンを置いていくと、ズンズンとクレアを引っ張っていってしまった。
酔っている筈なのに、すごい力だ。
「団長!!す、すみません!これで失礼致します。」
「いや、構わないよ。おやすみクレア。」
クレアは抵抗する事もできず、エルヴィンを振り返りながら挨拶をすると、引きずられるようにリヴァイの自室まで向かった。
──バタン──
自室に着くと、リヴァイは繋いでた手を離し、倒れ込むようにソファに座った。
ドカッと座りこみ、口で息をしながら天井を仰いでいる。
相当アルコールがまわってるようだ。
「あっ!!兵長、すぐにお水用意しますのでお待ちください!!」
ハッと思い立ったクレアは、預かっていた上着をハンガーに掛けると、水さしとグラスを用意し、トレーに乗せリヴァイの元に持っていった。
「どうぞ…ご気分は悪くないですか?」
心配そうに顔色を伺いながら水を汲もうとしたが、リヴァイは水差しをガシッと掴むとグラスには注がずそのままガブガブと水を飲みだした。
「へ、兵長……?大丈夫ですか!?」
「………ふぅ……クソッ……」
ひとしきり水を飲んだリヴァイはトレーに水差しを置き、袖で口を拭った。
勢いよく水差しを上に傾けて飲んだせいか、溢れた水がクラバットとシャツを濡らしている。
リヴァイは意識はあるようだが薄く目を閉じて、口で息をしながら天井を向いている。
目元は赤いままだ。
こんな状態のリヴァイを見るのは初めてだったクレアはいくら酒に酔っただけとはいえさすがに心配になった。
クレアは少しでも楽になればと思い、リヴァイのクラバットを緩めようと手を伸ばす。