第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
長い廊下を歩きながら時折クレアが話しかけるが、リヴァイはクレアの手を強く握ったまま何も話そうとしない。テキーラがこたえてるのは間違いなさそうだ。
「それにしても、すごい勝負だったな。いったいクレアはどちらを応援していたんだい?」
爽やかな瞳のエルヴィンからなんとも意地悪な質問をされてしまい、思わず返答にまごついてしまった。
リヴァイだと言うのもなんだか照れくさいし、若干ハンジのカッコ良さにヤラれていたのも事実だった。
しかしそんなこと、リヴァイの前で言えるわけがない。
「うるせーよ!エルヴィン!野暮な事は聞くなよ…」
戸惑っていたクレアに先程まで黙っていたリヴァイだったが、繋いだ手を唇まで持ってくると見せつけるかのようにキスをし牽制をした。
「……兵長?!」
エルヴィンを前に大胆な事をしてくれるリヴァイにも戸惑ってしまい、思わず手を振りほどこうとしてしまったが、強く繋がれた手はクレアの力では振りほどくことができなかった。
「おっとすまなかったね…それにしてもリヴァイ。短時間で相当飲んだな。分かってると思うが、朝までにはアルコール抜いておくようにな。」
「うるせー。わかってる。」
「それじゃあクレアは私が部屋まで送ろう。」
「え?」
まさかのエルヴィンの申し出に驚いたクレアだったが、間髪入れずにリヴァイが反撃した。
「おい!どうしてそうなる?」
「勝負に勝ったとはいえ、リヴァイはもう限界だろう?早くベッドに入りたいんじゃないのか?だから代わりに私がクレアを部屋まで送ろうとしたまでなのだが?何か不満か?」
リヴァイの心の内を見透かしていたエルヴィンは顎に手を当てるとクスリと微笑んでみせた。
「あぁ…不満も不満、大不満だ。その爽やかそうな顔でクレアを騙して送り狼にされたらたまったもんじゃねぇからな。」
「兵長!!それはあまりにも失礼ですよ…」
さすがのクレアも止めに入ったが、殺気立っていたリヴァイは容赦なくエルヴィンを睨みあげていた。