第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
よくよく考えれば、間もなく自分の誕生日であった。
すっかり忘れていたが、ハンジとリヴァイはしっかり覚えていた様だ。
でもどうしたものか。
今この2人は自分の誕生日をどちらが一緒に過ごすかをめぐって言い争いをしている。嬉しい申し出なのだが、クレア自身の意思をちっとも確認しない所がなんとも2人らしく、おもわず苦笑いになってしまった。
しかしそんなクレアをよそにハンジもリヴァイもガミガミと言い合っている。
「ハ、ハンジさん!兵長!喧嘩はやめてください…それに落ち着いて下さい!」
なんとかこの言い争いを止めなければと間に入るが
「クレアは黙ってて!」
「お前は黙ってろ!」
…は、ハモった!!
なんとも息のあった2人のハーモニーに圧倒されると、クレアはもう何も言えなくなってしまった。
言い争うこと数分。
「リヴァイもしつこいなぁ!そこまで言うならこうしよう!」
「なんだよクソメガネ!!」
痺れを切らしたハンジは何か案が浮かんだのか、棚からゴソゴソと四角いものを取り出すと、リヴァイの前にバンッと叩きつけた。
「勝負だ!リヴァイ!!」
ハンジが取り出した物はトランプだった。
「どういう事だ…」
すると、ハンジは再び立ち上がりショットグラス2つとテキーラの酒瓶を持ってくるとトランプの横に並べた。
「ポーカーの負けテキで相手を潰した方が勝ちだ!リヴァイが勝ったら私はこの申請書にサインをする。リヴァイが負けたらクレアはみんなでお祝いだ。どうする?」
「ふざけんなよ…」
「私はいいんだよ〜不戦勝でもね?!」
イライラが最高潮まで達したリヴァイにハンジはニヤッと笑うと、さらに煽る様な言葉を浴びせてみせた。
「上等じゃねぇか!速攻でぶっ潰してやるよ!」
「ハハハッ!!そうこなくっちゃ!!」
ハンジは上着を脱ぐとモブリットに放り投げてソファに勢いよく腰掛けた。
リヴァイも同様に上着を脱ぐとクレアに押し付けハンジの向かいにドカッと座り込み脚を組む。
ハンジさん…兵長……
2人が睨み合う中、クレアを賭けた熱い戦いの幕は切って落とされた。