第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
本格的に春めく5月の第一週は、クレアの誕生日という大イベントがあったのだ。
もちろんクレアの誕生日の日付をしっかりとチェックしていたリヴァイは、少し前からどうしたものかと考えを巡らせていたが中々良い案が思い浮かばなかった。
しかも、この多忙な兵士長という立場だ。
このままモタモタしていたら何も用意できぬままその日を迎えてしまいそうだ。
クレアだって自分の誕生日には頭を捻らせて最高のプレゼントをくれたのだ。
自分もそれ相応のものを、いや、それ以上のものを贈りたいと思うのは当然の感情だろう。
「ところで兵長、クレアの誕生日はいつなんですか?」
「10日後だ……」
──10日後──
それを聞いて班員の4人は顎に手を当てながらアレコレと考える。
まず口を開いたのはエルドとグンタだ。
「女性への贈り物だと、まず1番に思い浮かべるのは身に付ける物って考える人が多いと思うんですけどね。」
「服とか、アクセサリーとかです!」
「アイツはみすぼらしい雑巾しか持ってなかったからな…服ならプレゼントという名目ではなく、散々仕立ててやった。いまさら服をプレゼントというのもピンとこねぇな。アクセサリーの類は贈った事はなかったが…アイツの好みがわからねぇ。」
納得いかないわけではなかったが、リヴァイは首を縦には振らなかった。
「ちなみに兵長は誕生日の時クレアから何を貰ったんですか?参考までに聞かせてくださいよ。」
オルオがリヴァイのグラスに酒を注ぎながらそれとなく質問をする。
オルオもたまにはまともな事を言うじゃないかとエルド達はうんうんと頷いて見せた。
「クレアから貰ったもの?…そうだな…詳しくは話せないが、最高に予想外で、最高に技巧的で、最高に奇行種らしいプレゼントをもらったぞ。」
エルドにはフレイアがいるが、グンタとオルオには恋人はいない。
変な妄想をされても困るため、リヴァイはさすがに服を引っ剥がされて跨がられながらオイルマッサージをされたなど言えるわけがなかった。