第32章 譲らぬリヴァイ!譲らぬハンジ!デスマッチ!
──時遡ること数日前──
「…チッ……仕方ねぇ…」
リヴァイはある悩みを抱えて、それを解決すべくとある場所を訪れていた。
──ガチャ──
「「「「リ、リヴァイ兵長!?」」」」
扉をあけると、自身の班員がいっせいにリヴァイの顔を見る。
そう、リヴァイが訪れたのは班員がくつろいでいる休憩室。今宵もこの4人は仲良く酒を飲んでいた。
「盛り上がっているところに悪いな…ちょっといいか?」
上官が訪ねてきてちょっといいも悪いもない。
オルオとペトラはすぐさま席を用意すると、エルドとグンタが飲み物の用意をした。
「とんでもないです!どうぞかけてください!」
全員が着席をすると、班員の4人はゴクリと唾を飲む。少し前にハンジが流した噂もまだ色濃く漂っている中、リヴァイが訪れたとなると、ソレがらみの話なのではないか。何か問題が発生したのか?皆一同に身構えた。
「おい……プレゼントとはどうやって選んで決めるんだ。」
「「「「………………」」」」
予想外の展開に4人は軽くデジャヴに襲われる。
「(おい、前にもこんな事がなかったか?)」
「(今回もクレアがらみか?)」
4人が必死に視線を合わせて目だけで会話をするが、リヴァイはいたって真面目な顔で誰かが喋りだすのを待っていた。
「兵長、それは大切な方の特別な記念日とか、誕生日の贈り物でしょうか?」
まずはエルドが先陣切ってリヴァイの聞きたがってる事を探り始めた。
「あぁ、もうすぐクレアの誕生日なんだが、何をあげていいのかさっぱり思い浮かばねぇ。」
「「「「!!!」」」」
4人はリヴァイの口から“クレア”という名前が出たのを聞き逃さなかった。
前回ここに来た時はもちろん、うまくいったという報告をエルド経由でしてきた時も、リヴァイはクレアの名前を出さなかった。しかし、今はごく自然な流れでクレアの名前が出てきた。リヴァイはもう自分達には隠す必要は無いと判断してくれたのだろうか。
エルド達はなんだかリヴァイが自分達に対して、また1つ心を開いてくれた様な気がして思わず嬉しくなった。