第31章 それは奇行種が決めること
31章終わりましたが、
★おまけストーリー★
しかしその夜……
リヴァイは何故だが中々眠りにつくことができなかった。この腕にクレアを抱き、キンモクセイの香りに包まれているというのに。
その理由は分かってる様で分からない、なんだかモヤモヤとした気持ちがリヴァイを支配しだし、眠りにつくことを拒んでいた。
「チッ……」
サイドテーブルの時計を見ると時刻は11時半。
クレアはグッスリと眠っているのか規則正しい寝息を立てている。
「……」
リヴァイはその安心しきって眠っているクレアの頬にキスをし、蜂蜜色の髪の毛を撫でると、そっと部屋から出てある場所に向かった。
──コツコツコツ──
ある場所に着いて30分が過ぎようとした頃、目的の人物は現れた。
「あれ?リヴァイ?珍しいね、どうしたの?」
現れたのは仕事を終えたハンジだった。
「……」
ハンジの自室の扉の横に背中をつけて黙って突っ立っているリヴァイにハンジはカギをあけて招き入れた。
「ほら、突っ立ってないで入りなよ。」
リヴァイは黙ってハンジの部屋に入っていった。
リヴァイはハンジの部屋に入るとその散らかりように一瞬眉をひそめたが、小さく舌打ちをすると、勝手知ったる他人の家の様にズカズカと入り、ハンジのデスクのイスに座った。
しかし、リヴァイもハンジも何も話さない。
ハンジは長年の付き合いでよく知っていた。
こうして訪ねてくるとき、だいたいリヴァイ自身も何を話したくて訪ねてきてるのかよく分かっていないのだ。
ハンジはベッドの下から秘蔵のウォッカを取り出すと、ショットグラスに注いで1つをリヴァイの前にある積まれた本の上に置いてやった。
「私の高かった秘蔵のウォッカ、ツーフィンガー分。特別サービスだよ。」
そしてハンジはベッドに腰掛けると、自身も酒を飲みながら今日の出来事をあーでもないこーでもないと独り言の様に話し始めた。
あらかた独り言が終わると、脚を組み直してリヴァイの方を向いた。
「リヴァイはさ、なんか、変わったよね。クレアと出会ってからさ。」
“クレア”というキーワードに微かに反応したのをハンジは見逃さなかった。