第31章 それは奇行種が決めること
しばらく欲望に任せてクレアの唇を堪能していたが、さてこの後はどうするべきかとリヴァイは悩んだ。
「……ふぅ……ぅ…兵長……?」
カオリナイトに馬乗りになり、自分への想いを怒りに任せて叫んでいたサディスティックなクレアの表情を思い出すと、その光景はリヴァイの欲望をはち切れんばかりに膨張させようとしていたが、クレアは腹部を蹴られて負傷している。
唇を離してよく見れば、嘔吐もしたせいか若干顔色も悪い。
やはり今日はこのまま休ませるべきだろう。
「腹蹴られて、痛むだろ?吐き気はもうないか?」
「お腹はまだ少し痛いですが、吐き気はありません…」
「そうか…明日の朝調子が悪ければ、訓練は休めよ。分かったな?」
「は、はい……」
「よし、じゃあもう寝ろ。」
「え?」
「あ?なんだよ…」
「い、いえ…兵長の自室まで連れて来られたので、あの…私はてっきり……」
ここまで言って、急にまた恥ずかしくなったのか、思わず赤くなった顔を背けてしまった。
「はぁ………」
せっかく我慢してやっているのに、コイツは本当に何も分かっていない…
「それはすまなかったな。そんなにヤリたいなら今からでも応えてやるぞ。」
「ち、違います!兵長!お、おやすみなさい!!!」
慌てて布団を引っ張って広げると、頭から被りクレアは縮こまってしまった。
リヴァイも後に続くように布団に入ると、クレアを後ろから抱きしめる。
「安心しろ、こんな状態のヤツ抱くほど鬼畜じゃねぇよ…まぁ、調子が戻ったら覚悟しとくんだな。」
耳元でそう囁くと、クレアは消え入りそうな声で「はい…」と答えてその目を閉じた。
リヴァイもクレアの心拍数が徐々に落ち着いてくるのを確認すると、キンモクセイの香りを堪能しながら自身も目を瞑った。
クレアの傷の回復が1日も早からんことを願って。