第31章 それは奇行種が決めること
すると…
「ま、待ってください…!!今それは非常にまずいです!」
クレアは少し背中を仰け反らせ、リヴァイのキスを回避した。
「あ??どういうことだ?」
クレアの拒否に、思わず不機嫌オーラを出すリヴァイ。
「先程私、盛大に吐きましたし、それに口の中も切ってます。とてもそういう事ができる口内環境ではありません!!」
十分にうがいをしたからといって吐いたばかりの口を潔癖症のリヴァイに差し出す事など到底できない。
それにまだ若干出血もしていて唾液は血の味だ。
「そんなの、どうだっていい…少し黙れ……」
リヴァイはクレアの言い分に耳を傾けることなく、今度は逃さないとばかりに右手を耳の後ろにスライドさせると、少し強引に唇を奪った。
「んん……」
確かに普通に考えればクレアの意見は当然の主張だ。それに、自他共に認める潔癖症の自分からしてみても、こんな行動どうかしてると思った。
しかし、大切な恋人をどんな理由であれ、乱暴されるのをただ見ていることしかできなかったのだ。
すぐにでも触れてやりたいと想うのは当然の感情だろう。リヴァイはクレアの唇に触れることに少しの抵抗もなかった。
触れるだけでのキスでは満足できずに、リヴァイは抱きすくめるように力を入れると自身の舌をクレアの口内に侵入させた。
かたく緊張しているクレアの身体からは、このままリヴァイを受け入れても良いのかと戸惑いが現れていたが、そんなのはお構いなしにリヴァイはクレアの口内をくまなく貪った。
「ふぅ……!!」
クレアは舌の側面にリヴァイの舌先が当たった時、思わずビクンと身体を硬直させてしまった。
きっとここが傷口なのだろう。
唾液とは違った鉄臭い味がリヴァイの舌を刺激した。
「痛いのはココだな…俺が舐めて治してやる……」
「あ、あの……」
一度唇を離し呟くと、クレアの返事を待たずに再び唇を押し付けた。