第31章 それは奇行種が決めること
ザクザクと足音を立てながらハンジは知識欲旺盛な表情でカオリナイトに声をかけた。
「ねぇ、カオリナイト。後学の為に教えてほしいんだど、リヴァイがクレアの事をメチャクチャ好きだと分かってても、クレアを消したいと思った理由って何?」
「……………」
ハンジはカオリナイトの両手を拘束したまま少し意地悪に質問したが、当然返答は返ってこなかった。
「ハハハ、女の嫉妬は分析が難しいねぇ…生憎私には持ち合わせてないから分からないんだよ。もちろん、私も生物学的上女なんだけどさ。あーあ。」
なんとも脳天気に呟くと、あっという間にエルヴィンの執務室に到着をした。
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ひとまずエルヴィンによる事情聴取が執り行われたが、今回の一件はカオリナイトによる犯行で間違いなかった。
またミメットはリヴァイに想いをよせる兵士の1人であったが、元々犯行には断固反対だった。
しかし借金を抱えている実家に、給金の殆どを仕送りしている事実を知っていたカオリナイトに、金をチラつかされたミメットは、仕方なく金で雇われるような形で犯行に手を染めてしまった様だった。
本来ならばこの処分はカオリナイトの班長始めとする幹部達で協議のもと決められるべきだが、今回はリヴァイとクレアのプライベートな関係が深く関わっている。
兵団全体で協議となると、2人の関係を公表せざる負えない。
恋愛は自由であるが、リヴァイの地位を考えるとあまり公にしない方が良いと判断したエルヴィンは、自分とリヴァイ、ハンジの3人で裁可をすることにしたが、当のカオリナイト本人が自主退団を申し出た為、穏便にことは片付いた。
そしてミメットは情状酌量の余地があるとして始末書の提出のみとなった。
すぐにカオリナイトとミメットの班長が呼び出され、今回の事件とその処分について話をしたが、他言無用の箝口令がだされ、一件落着となった。
エルヴィンの部下によって地下牢まで連れて行かれたカオリナイトに自室に戻された班長達とミメット。
エルヴィンの執務室に残ったのはリヴァイとハンジ、クレアとフレイアだ。