第31章 それは奇行種が決めること
「クレア、すぐに助けに出れなくてすまなかったな。」
リヴァイは脱ぎ捨てたカーディガンをクレアにかけてやると、軽く抱き寄せる。
「あ、すみません!兵長が謝らないで下さい…これは私自身が解決しなくてはならない事だったので…何も問題はありません。」
「そうか…お前が頑張ってくれたお陰で、カオリナイトの自白もとれた。これでエルヴィンも動けるはずだ。」
「それなら、良かったです…」
「で、何か答えは出たのか?」
「…解決といえるかは分かりませんが、私は壁外はもちろん、壁内においてもこの命ある限り戦う事に決めました。私は兵長の側にいたいので、邪魔をしてくる者がいれば迷わず何度だって戦います。それが…私の選択です。」
「ハッ、奇行種らしい選択だな。」
リヴァイはクシャっとクレアの髪を撫でた。
「ちょっとクレア!!本当に大丈夫なの?」
心配していたフレイアもすかさずクレアに駆け寄ってくる。
「ごめん…せっかく一緒にいてくれたのに、油断しちゃったね…」
クレアは申し訳なさそうに謝ってみせた。
「それにしても、クレアがあんなに大胆に兵長への愛を叫んでくれちゃうから、私の方が照れくさくなっちゃって…腰が抜けるかと思ったわ!」
「……え?何それ…」
すると、俺にも言わせろとばかりにリヴァイも会話に入ってきた。
「それに関しては俺も聞きたい事が山程ある。後でじっくり聞かせて貰うからな。覚悟してろよ。」
気が立っていたクレアは自分が何を口走ったのか、まだ興奮状態から抜けきれてない為か記憶が曖昧だった。リヴァイは微かに悪い笑みを見せているが、これは自分が口走った事と関係あるのだろうか。
リヴァイの言葉が聞こえたのか、カオリナイトは2人が視界から消えるように顔を背けた。
「おーい!ここで立ち話をしているわけにはいかないよ。とりあえずエルヴィンの所に連行だ。」
「は、はい!!」
ハンジの声で一行は兵舎の玄関まで歩き出した。