第31章 それは奇行種が決めること
だからこの想いを手折る者がいるならば絶対に許さない。
「……グッ…………!」
クレアは無意識にカオリナイトを締め上げる拳に力が入った。
私は決める。
私自身の選択を。
兵長が好き、側にいたい。
だから私も守りたい。
兵長がいつだって私を守ってくれたように。
私は兵長と過ごせる時間を守りたい。
兵長の側にいる事を邪魔する者がいるならば、私は逃げずに戦おう。
何度だって何度だって何度だって!!
「兵長が好きなのは私です。私だけです!それに私だって生半可な気持ちで兵長を好きになった訳ではありません!!兵長を想う気持ちはカオリナイトさん含め、誰にも負けません!それに、私が消えれば兵長は私を消した人間を許しはしないはずです。」
「…な、なによ……」
「それでも納得できないと言うのであれば、お応え致します。」
完全に吹っ切れたクレアの目に迷いはなかった。
クレアは立ち上がると、2人から少し距離を取り向かい合う。
「兵長を想う者同士、道理を通しましょう。2人まとめてかかってきて頂いて構いません。降参した方が兵長から身を引く事にしましょう。」
クレアがスルリと羽織っていたカーディガンを脱いで放り投げれば、首元から鎖骨辺りにかけて素肌の色とは違った無数の跡が暗がりでもはっきりと目に入った。
「!!!」
これは紛れもなく3日前の夜にリヴァイがクレアにつけた所有印だ。
さらにクレアは腕まくりをし、部屋着のロングワンピースの裾を破ると完全に戦闘態勢をとる。
その表情は数日前に倉庫で見せた表情とはまったく違っていた。
こんな状況になるなど、カオリナイトにとってはまったくの想定外だった。