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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第31章 それは奇行種が決めること




「うぅ……」

痛む腹部と顔面にうめき声を上げながらクレアは必死に考えた。

ここで拘束を振りほどいて反撃する事も可能だ。
身体は痛いが今ならまだ形勢逆転も狙える。

でもそんな力技だけでは解決しないような気がしたクレアはとにかく必死に考えた。


「わ、私がいなくなることが、そんなに望まれる事なのですか……??」


「うるさいわねぇ!当たり前でしょ!」


「それは…私がいなくなることを兵長が望んでるということでしょうか…?!」


「!?」


「私がいなくなって喜ぶのは誰ですか…?兵長ですか?それとも、兵長に想いをよせてる人でしょうか?」


「な、何が言いたいのよ……」


「カオリナイトさんは、自分の想いばかりを守ろうとしていて、兵長の事は何一つ考えてはいないです!それは、兵長が好きだと言う事とは違います!」


思わず感情が高ぶりクレアは声を上げてしまった。


「なんですって!生意気言うんじゃないわよ!」


売り言葉に買い言葉でカオリナイトは先程とは反対側の頬に平手打ちで返した。



──バチンッ!──


「あぁ……」


うっかり舌を噛んでしまった。口の中には鉄臭い味が広がり思わず顔が歪んでしまう。


違う…

こんなの違う…

絶対におかしい…


頭の中で何かがキレたクレアはミメットの拘束を力技で振りほどくと、カオリナイトの脇腹に回し蹴りを入れ転倒させ、すかさず馬乗りになり胸ぐらを掴んだ。


「兵長は、兵長は…私の淹れた紅茶が1番お好きなんです!私が掃除をした執務室で、私の淹れた紅茶を飲みながら、私の隣で仕事をするのが1番はかどるんです!」


「な、なによ……!!」


「兵長が私を選んでくださったのも、壁外調査で捜索に来てくださったのも全て兵長がお決めになった選択です。」



「……………!!」





……最初は兵長に対する気持ちが何なのか分からなくて、もどかしくてイライラして、たくさん悩んだ。でもそれが恋なんだと分かって……さらに悩んだ。
悩んで、悩んで、すれ違って、やっと繋がった初めての恋。


まだまだ恋人同士になってそんなに長い時間はたっていないけど、時間に関係なく確かなものだってある。




──兵長が好き──



この想いだけは誰にも負けない自信があった。




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