第31章 それは奇行種が決めること
「あんたと兵長はすでに恋愛関係だったのね!この間の質問ではずいぶんバカにしてくれたじゃない!」
「!?」
「もう隠さなくていいわよ。全部知ってるから…」
この様子からすると、自分とリヴァイの関係を確信しての発言だろう。どこかで漏れたのか、それともリヴァイの自室に泊まった所を見られたのだろうか。
どちらにしても、もう有耶無耶にすることはできなさそうだ。
「……はい。」
クレアは最低限の返事で返した。
「…あんたさえいなければ…私はずっと清らかに兵長を想い続ける事ができたのに!!!あんたさえいなければ!あんたさえいなければ!目障りなのよ!!」
──ドガッ──
怒りで打ち震えたカオリナイトはクレアの両肩を掴むと思いっきり腹部に膝蹴りを入れた。
「あうっ………うぅ……う……うえ……」
腹部に受けた衝撃で、痛みと共に先程食べた夕飯がせり上がってくる感覚が襲いかかり、クレアはそのまま前屈みになると地面に盛大に嘔吐してしまった。
「汚いわね!!きれい好きのリヴァイ兵長が見たらなんて思うかしら。とにかく消えてよ。あんたの存在が邪魔よ。」
すると、今度は容赦なく平手打ちが飛んできた。
──バチンッ!──
「…うぅ…」
「みんな兵長の背中を追いかけてるの!尊敬以上の慕情を抱いてる者だって少なくないわ!それなのにあんたみたいなのが兵長の隣にいると指揮に関わるし目障りなのよ!」
「アイツ…言いたい事言いやがって!!」
リヴァイが木の影から出ていこうとする所をハンジが必死におさえた。
「リヴァイ落ち着け!!クレア自身に解決させなければ意味がないと言ったのはリヴァイだろ?」
「うるせぇ、クソメガネ!離せ!」
「待てってば!クレアの対人格闘の腕は知ってるだろ?女相手ならクレアは負けない。何か考えがあるんじゃないのか?私だってとうに限界だ、でももう少しだけ様子を見よう!」
「クソッ……」
ハンジの言ってることに反論ができないと判断すると、リヴァイは奥歯を噛み締めながら、再び木の影に身を潜めた。