第31章 それは奇行種が決めること
「まずいと思ってすぐにここに来たんですけど…どうしたら……」
この3日、クレアには1人にならない様にきつく言っていた。もちろんハンジもフレイアも同様にクレアを心配していたため、なるべく行動を共にしていた。
しかしこの3日、何も起こらなかったことにきっとクレアは油断をしたのだろう。
そしておそらく、カオリナイトはクレアが1人になる瞬間をずっと狙っていたのかもしれない。
「クソッ……」
自分の考えが甘かったかとリヴァイは自身に盛大な舌打ちをしたと同時に、あまりにもしつこい女の嫉妬に腸(はらわた)が煮えくりかえりそうだった。
「とにかく探すぞ!!」
「は、はい!!」 「わかった!!」
3人は兵舎を出てひとまず厩舎に向かった。
「これだな…」
リヴァイはデイジーの馬房の前に散らばっているにんじんの葉っぱに目をやった。
「はい、これです。」
確かに通路の真ん中でぶちまける様に散らばっていた。
そして、デイジーにも落ち着きがなく、ガツガツと前掻きをしている。
問題は何処に連れて行かれたかだ。
横長の厩舎には左右と真ん中に出入り口がある。
「おいデイジー。お前はクレアが連れて行かれたのを見ていたな。どこの出口から連れ出された。」
リヴァイはデイジーを落ち着かせる様に額を撫でると、クレアが壁外の森で行方不明になった時と同じく質問をしてみた。
「クレアが出ていったのは左の出口か?」
デイジーはリヴァイの胸をドンと押す。
これは否だ。
「では右の出口か?」
ブンブンと頸を立てに振り、前掻きをする。
これは応だ。
「リヴァイ、右の出口からだと兵舎裏が人気のない所では1番近いか?」
「あぁ…可能性高いな。急ぐぞ。」
もうなりふりかまってはいられない。3人は兵舎裏に向かって走り出した。
どうか、どうか無事でいてほしい。
リヴァイは愛しい恋人として
ハンジは大事な部下として
フレイアは大切な友人として
クレアの無事を願わずにはいられなかった。