第31章 それは奇行種が決めること
それは2日後の夜だった。
──バタンッ──
リヴァイの執務室の扉がノックも無しに大きな音を立てる。
「リヴァイ兵長!!」
飛び込んできたのはフレイアだった。
「はぁ…はぁ…ノックも無しに申し訳ございません!」
フレイアは両膝に手をつき息を上げている。
きっとここまで走ってきたのだろう。
「ちょっと、フレイア大丈夫?」
ちょうどリヴァイの部屋に居合わせていたハンジがフレイアに駆け寄り背中をさすった。
「あっ、ハンジさんもいらっしゃったんですね!よかったです……」
「!?」
その言葉にリヴァイは眉間にシワを寄せるとイスから立ち上がりフレイアを睨んだ。
「おい、フレイア。俺とクソメガネに急用みてぇだな?いったい何があった?」
自分とハンジに急用があるなど、ここ数日の事を考えると、クレアの事がらみ以外には考えられない。
一抹の不安がよぎった2人は目を合わせると、フレイアの言葉を急かすように視線を送った。
「す、すみません!!クレアが…クレアがいなくなりました…」
「なんだと!?」
「えぇ?!いったいどういう事?」
焦れたリヴァイがフレイアに掴みかかろうとしたのにいち早く気付いたハンジは、2人の間に立ち制止をする。
「もう!落ち着いてリヴァイ。まずはフレイアの話を聞かないと!!……ごめん、フレイア。状況を教えて!」
「は、はい。さっきまでずっと一緒だったんです。訓練が終わって、お風呂も一緒に入って、夕飯も一緒に食べたんですけど…食器を片付けてる時に食堂のおばさんが、にんじんの葉っぱがたくさんあるってクレアに声をかけてきたんです…そしたらクレア、目の色変えてデイジーにあげなきゃ!ってはしゃいで走って行ってしまって…」
「お前は追いかけなかったのか?!」
「もちろん追いかけました!食器の片付けはリリアンに頼んで私もすぐに後を追ったんですけど、クレア足速いから食堂出た時にはもう姿見えなくて…急いで厩舎に向かったんですけど、クレアどこにもいなくて……にんじんの葉っぱだけが散らばってたんです…」
リヴァイとハンジの顔色が一気に曇る。