第31章 それは奇行種が決めること
クレアはリヴァイの提案を受け入れることにしたが…さすがに1人で歩ける。
「あの、今夜はお言葉に甘えて兵長のお部屋でお世話になりますので、降ろしてください。1人で…歩けますから…」
「ダメだ。こんなに傷だらけなんだ。明日の訓練に支障が出ても困るからな。俺が抱えて行ってやる。」
傷の事に明日の訓練の事まで考えてくれているのなら今していた行為は何なのだと思わず突っ込みたくなったが、今は何を言っても無駄であろう。
クレアは大人しく従うことにした。
──カチャ──
クレアを抱えながらそっと扉の外に目を向けるが広い廊下は無人な上に静まりかえっている。
カオリナイトがここに来ていたかどうかを確認する方法はなかったが、来ていなかったのならとうに自分の事は諦めたと判断できるだろうし、来ていたのなら、十分に2人の仲は理解できたはずだ。
もともと裏でコソコソとすることしか出来なかったヤツなんだ。これで大人しくなるだろう。
リヴァイはそんな事を考えながら執務室にカギをかけると、クレアを大事そうに抱えながら自室へと向かっていった。
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時遡ること数十分前…
カオリナイトは高鳴る胸に手を当てながら長い廊下を歩いていた。
調査兵団に配属されて2年。なんとか死なずに生き残ってきた。そして、やっと焦がれて焦がれていたリヴァイの執務室に呼び出してもらえたのだ。
しかし、やっと呼び出してもらえたというのに、話す内容はリヴァイとクレアの関係についてだ。
カオリナイトはリヴァイに対しての憧れが、慕情に変わってからも、ずっとその想いを胸にしまったまま日々を過ごしてきた。
何度か想いを伝えようとも考えたが、リヴァイに迫った女兵士の末路の噂はいつも皆同じだった。
リヴァイは毎回言いよる女を煙たがり等しく寄せつかなかったのだ。