第6章 調査兵団入団
─バタン!──
クレアは全速力で走り自室のドアをノック無しであけ、飛び込んだ。
同室の者はいなかった。ベッドに置いてあった兵服が、たたまれた私服に変わっていたため、おそらく彼女は先に着替え、食堂に向かったのだろう。
クレアも急いでワンピースを脱ぎ捨て、兵服に着替える。
…クレアは当然の事ながら、団長であるエルヴィンが特例を認めたものだと思っていた。
今ひとつ状況が読み込めないが、聞ける者もいなければ、時間もない。
鏡で軽く髪を整えると、さっき買った香油を少し手に取り髪になじませてみた。
風呂上がりのほうが香りがなじみやすいが、せっかくの新兵歓迎会だ。これくらいは許されるだろう。
香油を引き出しにしまうと、大急ぎで食堂に向かった。
食堂に着くと、あらかたの新兵は着席をしていた。
どうやら入り口に班員編成と、班ごとの座席表がはってあるようだ。
クレアも確認すると中程の席で、班はちゃんとハンジの班であった。
席の位置をもう1度確かめ、中に入ろうとしたところで、後ろからドン!と予想外の衝撃を受けた。
「クレアだね!!会いたかったよ、超会いたかったよー!」
後ろから抱きつかれ、頭をゴシャゴシャと撫でられる。一瞬頭は真っ白になったが、冷静に振り返ってみると。
「………!ハ、ハ、ハンジさん!」
「アハハハハ!本当にちっちゃいねー!リヴァイよりちっちゃいねー!ったく可愛いなぁ!」
と、後ろから頬をスリスリされた。
すると後ろに立っていた長身の兵士がハンジの後頭部をデコピンした。
クレアの特例は内密なのだ。派手な事をしては怪しまれてしまう。
「あちゃー…ここでイチャつくのはまずかったね!とりあえず中に入って座ろう!」
「は、はい!」
ハンジはクレアの手を引いて食堂の中につれていった。
座席に向かう途中に長身の兵士からスンスンと匂いをかがれ、フンッと鼻で笑われた……
「……………………!」
「彼はミケ、初対面の人間の匂いをかいでは鼻で笑うのが趣味なんだ。気にしないで!」
ハンジ班の席に着くと、ミケは奥の方の席まで行ってしまった。
ハンジの隣にはすでに1人の兵士が着席していた。
「クレア、改めてよろしくね。こっちはモブリット。」