第31章 それは奇行種が決めること
もしクレアが心からそう望むのなら、今回だけは甘やかしてやってもいいと思っていたが……返事は違うようだった。
「…これは、この先私が調査兵団で兵長の恋人として側に居続けるために、自分自身で乗り越えなければいけない様な気がします…なので、それは…お断りします…」
「ほう、何か打開策でもあるのか?」
「い、いいえ…具体的には何も…」
「なんだよ…ねぇのかよ。」
リヴァイは少し呆れたように呟いた。
「す、すみません…ですが兵長…こんな事になって…兵長ご自身は大丈夫なんですか?私のせいでこの先ご迷惑が…」
「俺はお前と付き合うことで迷惑だなんて思ったことは一度もない。俺が怖いのは…お前を失う事だけだ。」
「兵長……」
「だがその気持ちにももう決着はつけている。絶対に死なない保証などどこにもないが、それでも俺はお前に対して、悔いの残らない選択をしているつもりだ。だからお前は、お前の選択をしろ。」
「……………」
「お前ならできるはずだ。ハンジ班の奇行種のお前ならな。」
少し皮肉っぽく言って見せてるが、その口調も眼差しもとても穏やかで優しいものだった。
「は、はい……」
「クレア…。」
呟くように名前を呼ばれると、そっと唇が重なる。
「何度も言うが、クレアは凶星でも、危険因子でもなんでもない。優秀な兵士だ。調査兵団にきてまだ1年だが、その戦績と医療の技術で多くの貢献をしているんだ。今後一切自分を陥れるような言葉には耳を傾けるな。」
「ありがとうございます兵長…あまりモタモタはしてられませんが、私にできる事を少し考えてみます。」
「あぁ…わかった。」
すると、リヴァイはクレアの手のひらに、両頬に、キスをしてソファに押し倒すと、少し血の滲んだ包帯が巻かれている両膝にもキスをした。
「傷だらけだな……痛いだろ…」
「はい…でも、昨日も今日も、フレイアが髪を洗ってくれました。この手では満足にできないので、洗濯も任せてしまってます…」
「そうか…」
すると、リヴァイはなんの躊躇もなくクレアの部屋着のボタンに手をかけ始めた。