第31章 それは奇行種が決めること
「私は、兵長の側を離れたくはありません!でも…でも…その人の言っていた事も正論です。リヴァイ兵長は調査兵団にとってなくてはならない存在です。皆、兵長の背中を追いかけているんです!それが、私という存在のために命を落とすことになったら……そう考えてしまうと、私は兵長にとって…凶星でしかありません…」
凶星……そうだ。
どんなに愛しくても、自分が存在することで全てを危険因子に変えてしまうのなら、もう凶星という言葉がピッタリであろう。
「でも、だからといって兵長の側を潔く去れるほど、私はできた兵士ではありませんでした…もうどうしたらいいのかわからなくて……兵長の事が好きです…離れたくありません…」
気がつけばクレアの両目からはポロポロと涙がこぼれていた。
ずっと1人で悩んでいたのだろう。
リヴァイはため息をつくとギュッとクレアを抱きしめた。
「……兵長?」
「どうしてもっと早く俺に言わなかった…それにお前は凶星なんかではない。二度と自分を蔑む言葉を言うな。これは命令だぞ。」
「で、でも……」
リヴァイはクレアの頭を優しく撫でながら続けた。
「お前は、その類稀な才能でいったい何体の巨人を削いできた?そして、父親から仕込まれた医療技術で何人の負傷兵の命を救ってきた。」
「……!!」
「それにお前が毎晩遅くまでクソメガネと作ってるエロ薬。あれの売上金でどれだけ兵団の資金を支えてると思ってる。」
「あ、あの…」
「いい加減に目を覚ませよ!お前はソイツに都合よく言いくるめられてるだけだ」
「………」
「ソイツはお前が調査兵団に貢献してきた事全てを棚に上げて、俺といることのリスクだけをお前に突きつけたんだ。まぁお前はこじらせ鈍感奇行種だからな。まんまと嫌がらせと口車にハマったんだよ。」
「そ、そんなぁ……」
「俺といることのリスクなんか、数ある可能性の中の1つにしか過ぎない。…お前はどうしたいんだ…」
一旦身体を離すと、リヴァイはクレアの両頬を手で包み込んだ。
「私は、このまま…兵長の恋人でいたいです……」
「じゃあ、お前はどうするんだ?俺がソイツに言ってやろうか?「俺の女に手を出すな」と。」