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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第30章 奇行種、異変





「……………あ、あの…」


後ろから腕を掴まれ、引きずられるように近くの狭い倉庫まで連れて行かれると、そこでようやく手を離される。

振り返ってみると、目の前には女兵士が2人いた。

1人は今声をかけたであろう敵対心むき出しの女。

名前は、カオリナイト・レビ。

クレアより1年年上の兵士だ。
肩までのブラウンの髪をかき上げながら突き刺すような視線で小さなクレアを睨んでいる。

もう1人は、メガネをかけたミメット・フレデリック。

こっちもクレアより1年年上の兵士だが、ミメットからはあまり殺気立ったものは感じなかった。
何故だか視線も合わせようとしない。


2人ともこの1年共に厳しい訓練に壁外調査を乗り越えてきた仲間だ。

今までカオリナイトからこの様な態度をとられたこともなかったクレアは驚きと戸惑いを隠せなかった。


「カ、カオリナイトさん…ミメットさん…」


しばしの沈黙の後、口を開いたのはカオリナイトだ。


「…ねぇクレア。こんな早くに、どこ行くの?」


「……!?」


どこに行くのか…

そんなこと、言えるわけがない。
既にクレアが早朝にリヴァイの仕事を手伝っているのを知っている者もいる。
しかしこの状況でこんな聞かれ方をされては答えられる訳などあるはずがない。


クレアは口を固く結んだまま押し黙る。


「じゃあ質問を変えるわよ。あなた、前回の壁外調査、一晩行方不明だったみたいだけど、どうやって帰ってきたの?」


「お、お答えできません……」


リヴァイと関係する事は今ここでは話すなと本能が強く訴えている。
またも答えられない質問にピクリと肩が動いてしまう。


「じゃあ、どうして右翼後方に上がった紫の信煙弾にリヴァイ兵長が向ったの?右翼後方にいたのは、あんたのいるハンジさんの班じゃない?!」


カオリナイトが痺れを切らしてクレアの胸ぐらを両手で掴んだ。


「うぅ……!!」


女相手の対人格闘では負け知らずであったクレアは、この状態からでも形勢逆転は可能だったが、今ここで大事にはしたくなかった。




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