第30章 奇行種、異変
しかし、付き合い始めこそまわりから色々と根掘り葉掘りと聞かれたが、よくよく考えれば自分達の関係を知っているのは、フレイアとリヴァイ班の班員、幹部の人間だけだ。
どこで漏れたのだろうか…
「リリアン…その…兵長とのことはその通りなんだけど、まわりの新兵の子達には内緒にしてもらえる?」
「勿論です!誰にも言いません。…となると、やっぱり兵長絡みの線が濃厚ですね。」
「私もそう思う。なるべく早くハンジさん達に相談してよね!」
「うん……」
フレイアとリリアンは着替えを済ませると、着替えを濡らされてしまったクレアのために部屋まで取りに戻ってくれた。
クレアも無事に着替えを済ませると、3人で食堂に向かった。
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──翌朝──
昨日は夕飯のあとフレイアに洗濯物を頼んでから執務室まで向かったのだが、案の定ハンジはクレアの傷だらけの姿を見て渋い顔をしていた。
さすがのクレアも隠し通す事ができずにここ数日の出来事と、風呂での不可解な出来事を報告すると、ハンジもモブリットもフレイア達と似たような推理だった。
しかし、犯人がわからなければどうにも動けない。
少し対策を考えるからなるべく1人にならない様にと、ハンジは冷静な判断を下した。
とはいっても1人でしか行動出来ないときもある。
そう、早朝リヴァイの執務室までの間は確実に単独行動だ。
何か起こってしまえば、また怪我をしてまわりに心配をかけてしまう。そんなのは嫌だったクレアは足音を立てぬように静かに早歩きをするが、少し行った所で背後からいきなり声をかけられた。
「クレア・トート。ちょっと待ちな!」
「!!!」
一瞬にして背筋が凍る。
早朝の為、かけられた声は大きくはないが、背後からでも十分に自分に対して敵対心を抱いてるのが分かる。
「…何ですか?」
クレアは振り向かずに答えた。