第30章 奇行種、異変
今年調査兵団に入団してきた新兵は偶然にも皆15歳だとクレアはハンジから聞いていた。
15歳になってすぐの年に訓練兵団に入ったクレアは、まもなく19歳を迎えようとしている。
しかし、約4年も自分が年上だというのに、質問してくる兵士達は男女問わずみなクレアより身長が高い。
グルリと囲まれてしまえば、自分は追いつめられた兎のように小さく感じてしまい、途端に情けなさが込み上げてくる。
それと同時に、これから彼らが成長期に入ったらと思うと、ゾッとしてしまう。
男子の新兵達は今の時点でも割と体格がいい。
このままだとミケクラスの長身系兵士が増えそうだ。
「クレアさん!次俺ー!」
「待てよ!次は俺だっつーの!」
思春期真っ只中の男新兵達には少し困ってる姿のクレアも可愛くてしょうがないのだろう。
厳しい訓練は終わったというのに皆兵舎に戻ろうとせず、クレアを囲んでいた。
しかし………
「おい!!新兵のガキ共。それ位にしてやれ!」
新兵達をかき分けクレアの前に姿を現したのは、眉間にシワを寄せた不機嫌オーラ全開のリヴァイだった。
「兵長?」
「「「「「リ、リヴァイ兵長!!??」」」」」
クレアも新兵達もまさかのリヴァイの登場に驚いた。
リヴァイはクレアの首根っこを掴むようにジャケットの襟を掴むとヒョイっと持ち上げ、群がる新兵達の中心から引き出してやった。
トンッとクレアを降ろしてやると、リヴァイは新兵達にひと睨み効かせるように声をかける。
「コイツの討伐能力も、基本的な頭の造りも15m級以上の奇行種並だ。理屈で説明できるもんじゃない。知りたきゃ必死に訓練して身につけろ。」
「兵長!!頭の造りが奇行種は…酷いです……」
「クレアは黙ってろ。まぁ、コイツの様になりたいと思うなら俺がいつでも特別訓練をしてやるからやる気のある奴は志願しにこい。みっちり付き合ってやる。」
そう言うと、リヴァイはクレアを連れて兵舎まで戻っていってしまった。
一瞬ポカンとしてしまった新兵達だが、今夜の夕食時の食堂ではこの話題でより一層盛り上がることは間違いないだろう。