第29章 103期入団とハンジ班の奇行種
「本当に…この1年…生き残れたのが信じられないくらい…」
「それだけフレイアには生き残れる運と才能があるって事だよ。次の壁外調査も生きて帰還しようね。」
「うん!でもクレアは主席で卒業した精鋭候補のくせに、大怪我したり、行方不明になったりして私に心配かけてばっかりなんだもんなぁ…今度は絶対行方不明にならないでね!」
「う、うん…わかったよ…なんか私悪運は強いみたいで……」
クレアとフレイアは笑い合いながら着々と準備を進めていった。
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昨年同様賑やかに歓迎会が開催され、食堂は年に一度の大賑わいを見せていた。
ハンジ班も、新兵は配属にならなかったが、目の前にはいつもより豪華な食事に酒が並べられいる。
当然だが自然と会話もはずみ食が進んだ。
少し気分の良くなってきたハンジが他の班の新兵に巨人の話を聞かせてやろうと何度か立ち上がったが、それはクレアとモブリットの連携プレーにより見事に阻止をした。
そんな風に楽しい時間を過していたのだが、クレアには気にはなることが1つ。
なぜだかさっきからリヴァイの視線が突き刺さるように感じるのだ。
特に自分は何かをしでかした訳ではないと思うのだが……だからといって自分の方に来て何かを言いに来る訳でもない。
クレアは不思議に思ったが、この状況ではどうすることもできなかった。
空いた酒瓶がゴロゴロと転がり出した頃、ようやく歓迎会はお開きとなった。
今年もやはり何人かの新兵が潰れている。年上の兵士が介抱する姿も見られたがよく見ると、ゲルガーも酒瓶片手に眠りこけていた。
ゲルガーに関しては皆完全スルーで、ナナバに至っては何か辛辣な言葉を浴びせていた様にも見える。
クレアは少し気の毒にも思ったが、こちらとてこれからまだ仕事が待ち受けているため、ゲルガーの事は彼の班員に任せることにした。
しかし、陽気に鼻歌を歌いながら食堂を後にするハンジ達に、不機嫌そうな低い声で呼び止める人物が一人。
「……おい、奇行種2人…あいかわらず仲がいいな。」
その声の主はリヴァイであった。