第29章 103期入団とハンジ班の奇行種
午後になると、続々と騎乗した新兵が調査兵団の兵舎に到着した。
人数は昨年より若干多いような印象をうける。
クレアは他の同期達と共に新兵を厩舎まで誘導してやり、訓練場や外回りを簡単に説明をしてまわった。
最後に兵服を配り部屋割を発表すると、ここで新兵は例年通り歓迎会まで一時自由行動となる。
しかし、クレア達はこの後も食堂のテーブルセッティングや調理場の手伝いなどがあり、バタバタと忙しかった。
クレアが指示書と見比べながらイスを並べていると、フレイアが声をかけてきた。
「クレアお疲れ様!ついに入ってきたね、新兵!」
フレイアはイスを並べながらニコニコとクレアの顔を覗き込んだ。
「どれくらい入ってくるのか心配したけど、結構入ってきたね。私達の時より少し多いんじゃない?」
「そうだね、希望者無しとかにならなくて本当に良かったぁ。あっ!そういえば、ハンジさんの班は新兵入らないの?」
「う、うん…ハンジさん何も言ってなかったからそうだろうと思ったんだけど、さっき聞いたらやっぱり入らないみたい。」
「そっか…やっぱりリヴァイ兵長とハンジさんの班はそれだけ特殊ってことなんだね。…私、もし新兵でハンジさんの班だったら退団してたかもしれないもんなぁ…」
フレイアは苦笑いをしながらクレアと一緒に長テーブルを繋げた。
「えぇ?!そんなに?」
「うん…クレア見てると、本当にそう思うもん。私にはあんな過酷な労働は無理だって…」
「ははは…自分では余りそう思ったことはないんだけどね。」
「それがすごいんだよ〜兵長風に言えば“さすがはハンジ班の奇行種だな”、って感じ!!」
フレイアはリヴァイのモノマネをしながらからかう様に笑った。
「もう!!こんな所で兵長のモノマネしないでよ!そういえば、ミケさんの班には新兵入るんでしょ?」
「うん、1人入るみたい。男の子か女の子かはまだ聞いてないんだけど。」
「そっか、私達もついに“先輩兵士”になっちゃったんだね。なんか少し照れくさいな。」