第29章 103期入団とハンジ班の奇行種
「!!!」
「!!!」
目の前の光景に驚愕するエルヴィン。
青筋を立てたリヴァイ。
制止が間に合わず口を開けたまま固まるクレアとモブリット。
興奮してガッツポーズをしているハンジ。
それぞれがそれぞれの感情を爆発させ、執務室の時間は数秒間止まった。
「おい!!クソメガネ!これはいったいなんだ!」
再び時を動かしたのはリヴァイの怒号だった。
エルヴィンの机で開けられた箱からは今しがた孵ったばかりのカマキリの幼虫がうごめき、箱から溢れ出していた。
大人のカマキリもなかなかのインパクトだが、孵ったばかりのまだ透き通っている小さな幼虫たちも、これだけの数になると、いくら屈強な兵士といえど一瞬ギョッとするのは自然な反応だろう。
「え?せっかくだからエルヴィンとリヴァイにもこの生命の未知なる力を見てもらいたくてね!!持ってきたーーーーー!!」
もう今のハンジは誰にも止めることはできないだろう。
「ハ、ハンジさん!!箱に入れるのはやめましょうって何度も言ったじゃないですか…」
「分隊長!それは絶対に開けないで下さいとあれ程……」
この様子から察するに、2人にも止めることができなかったらしい。
しかし、こうしてる間にもカマキリの幼虫はどんどん箱から出てきてしまっている。
新兵に関する大事な書類も積まれてる中、エルヴィンの机の上がまさに大惨事になろうとしていた。
「おい!!モブリット!どこでもいいからホウキと袋を持ってこい!!急げ!!」
青筋立てたリヴァイがモブリットに命令をすると、ハンジにはお決まりの「頭メリメリ攻撃」をお見舞いしている様だ。
「いってぇーーー!!リヴァイ!いってー!アハハハ!いってーよー!」
「ハンジさーん……」
オロオロと狼狽えるクレアの姿を見ると、リヴァイは仕方なくその手を開放してやった。
ハンジは泣き笑いをしながら執務室のソファでのたうち回ってると、走って戻ってきたモブリットによってエルヴィンの机はキレイに片付けられた。
「はぁ…ハンジ。研究熱心なのは関心するが、私の机にカマキリの幼虫をぶちまけるのはやめてくれ…」
「「も、申し訳ありませんでした……」」
まだソファでヒーヒーと言っているハンジに変わり、2人が謝罪をする。