第28章 リヴァイの約束
急いでシャワーを済ませて出ると、小さなクレアがブーツを脱いでベッドの真ん中にちょこんと座っている。
長い蜂蜜色の髪の毛先がシーツに広がり半円を描いてクレアの腰まわりを隠していた。
「兵長…。」
カーテンの隙間から入りこむ朝日に照らされたクレアにこちらを向かれてしまえば、その幼くも美しい魅力に引き寄せられるように勝手に足がベッドに向かってしまう。
「待たせたな…」
リヴァイもベッドに上がり向かい合うと、両手でクレアの頬を包んで目を合わせる様に上を向かせた。
やっとひとここちついたかと、唇を重ねようと近づけた時だった。
「あ、あの兵長…先程、エルヴィン団長が仰ってた事ってどういう意味だったんでしょうか?ハンジさんが廊下で言っていた事もよく分からなくて…」
このままリヴァイの温もりに包まれても良かったのだが、クレアはどうしてもさっきのエルヴィンの言葉が引っかかっていた。
「………!!」
クレアはきっと執務室を出ていく間際にエルヴィンが呟いたでかい独り言のことを言っているのだろう。
前々から感じていたがおそらくエルヴィンもクレアに特別な想いを抱いていたに違いない。
それがどんな種類の想いであったかは考えたくもないが…
まぁ、あの野郎の事だ。
自身の団長としての立場や、野望を捨てる事などできるはずもない。更にはクレア1人を守り抜くことすら出来ない事実と葛藤して、結果あの男は身を引いたんだろう。
でなければあんな台詞が出てくるわけがないし、処罰が始末書1枚で済むわけがない。
あいつは思ったはずだ。
クレアの命が助かったのは、俺のおかげに他ならなかったことを。
なぁエルヴィンよ、可愛いクレアの顔を無事に再び拝むことができてさぞ安心しただろう。
でもな、無理矢理自分のものにしようとしなかった事に関しては誉めてやるが、意味深なでかい独り言には感心しねぇな。
さて、どうするか……