第28章 リヴァイの約束
それに真っ直ぐ自分の目を見つめ返す瞳の奥からは、2度と同じ後悔はしないという強い想いが、言わずとも伝わってきた。
これはファーランとイザベルの事、そしてこれからのクレアとの事だろう。
全ての想いを知っているエルヴィンは再びため息をつくと、重い口を開いた。
「お前たちの考えてることは分かるが…信煙弾での内密なやりとりは兵全体の混乱を招きかねない。伝令もまわっていたし、何も無かったことにはできないぞ……」
クレアは気まずさに負け俯いてしまうが、リヴァイは変わらずエルヴィンを真っ直ぐと見つめ、ハンジとモブリットはどんな処罰でも問題ないとばかりに堂々とした態度をしめしている。
その姿にエルヴィンも根負けしたといった表情だ。
「……お前たち3人、始末書だけは提出する様に。」
「……了解した。」
「承知致しました。」
「了〜解!」
話は終わったとばかりにハンジはエルヴィンの執務室を出ていこうとしたが、それをリヴァイは引き止めた。
「待てクソメガネ。それにエルヴィン、見せたい物がある。」
「…どうしたリヴァイ?」
「え?なになに?」
予想外の引き止めにエルヴィン達は少し戸惑いの表情を見せる。
「クレア、今朝拾った物を見せてやれ…」
「は、はい!!」
クレアは今朝方森で見つけた、殉職した調査兵の物と思われる手帳をエルヴィンに提出した。
ハンジは興味津々とばかりにエルヴィンの机に身を乗り出して覗きこむ。
「こ、これは……いったい…」
エルヴィンは息を飲んだ。
「何これ!?どういうこと?巨人が喋ったってこと?すぐには食べないって…そんな奇行種今までいなかったけど!それにユミルって何?人名なの?地名なの?」
ハンジは暴走寸前だ。
「おい待てクソメガネ、こっちもさっき拾って見たばかりなんだ。まだ何にも分からねぇよ。」
「だけど!だけど!すごい発見だよ!これを残してくれたのは…誰だったんだろう…」
命を賭して残してくれた謎多き巨人に関する情報。
冒頭に名前らしき記述があったが、それは風雨に晒されかすれてしまっていた。